ファームでしのぎを削る、飛躍が楽しみな将来のスター候補を発掘する好評企画。第2回の登場選手は、捕手王国の中で先輩たちに負けじと攻守で成長を続けている。キャンプ、オープン戦と一軍で過ごした経験を支配下昇格につなげるためにガムシャラだ。 取材・構成=菅原梨恵 写真=牛島寿人、佐々木萌 
捕手/育成3年目/21歳
育成選手にとって一つの区切りを迎える3年目。これまで以上に気合をみなぎらせて取り組んできた結果は、一軍キャンプ、オープン戦と着実につながってきている。あとは、2ケタ背番号をつかみ取るだけだ。 ──今季に向けては、オフシーズンから力の入ったコメントが聞かれています。
持丸 勝負の年というのは自分の中でも分かっていて、周りからもずっと言われてきました。オフシーズンに入って練習してきた部分がすごくあったので、まず一軍キャンプ、オープン戦も最後まで一軍にいられて経験になった。自分にとってプラスになったものばかりだったので、そこに関しては今年はいいスタートが切れたかなというふうには思っています。
──新シーズンを迎えるにあたって、意識的に取り組んできたことは?
持丸 下半身のウエートを重点的にやってきました。下半身から連動してバッティングするように、意識をして。毎月『InBody』という測定があるのですが、そこで体重に合った筋肉量というのが自分のイメージと違ったんです。筋肉量が少ないなという感覚が自分の中にあった。また、下半身のケガも1年目に肉離れをしていましたし。疲労感もかなりあったので、重点的にトレーニング、ケアすることで、疲労感やケガのリスクをあまり負わないような下半身につくり上げたいなと思ってやってきました。
──具体的にはどんなトレーニングを?
持丸 トレーナーさんからオフシーズンのウエートのメニューをつくってもらって、それをほぼ毎日ですかね。下半身を中心に細かい部位までやっていました。
──その成果もあっての一軍キャンプ、オープン戦帯同だったのですね。
持丸 オープン戦ではスタメンで出させていただく機会も何回かあったりして、まだまだ自分は一軍レベルの選手じゃないなと痛感した部分もありました。特に守備の面。キャッチャーとして一軍レベルのピッチャーをリードする難しさをかなり感じた部分があった。それでも、一軍バッテリーコーチの倉(
倉義和)さんと基本から応用まで、本当に細かいところからいろいろと教わりながらやっていったので、すごく充実した時間でしたね。楽しさやいい緊張感の中でできました。
──一軍で過ごす中で手応えを感じたところもありましたか。
持丸 もともと自分はバッティングで、真っすぐに振り負けないという強みがあったので、そこは一軍レベルのピッチャーの真っすぐでもしっかりと向かっていって、強い自分のスイングができたかなと思います。3月3日の
DeNA戦(横浜)でホームランを打てたのも、自分のアピールポイントになりました。
──代打で
上茶谷大河投手の初球の真っすぐをとらえてのホームランでした。
持丸 あの場面は負けている中でチームの雰囲気もあまりいいほうではなくて。点差は離れていましたが集中力を切らさずに、何とかチームの雰囲気を、という思いもありながら積極的にいきました。

真の“打てる捕手”として、打撃面では真っすぐだけでなく、変化球の対応も磨く
勝ちゲームにつなげる
──オープン戦では普段なかなか組む機会のない一軍で活躍する先輩投手とのバッテリーも。どんな違いがありましたか。
持丸 マツダスタジアムで大地(
大瀬良大地)さんと組ませてもらったことがあって(3月5日の
西武戦)。その中で、ある程度、構えたところに(ボールが)来るピッチャーは、キャッチャーの配球が本当に大事になってくるなと思いました。キャッチャーとして、責任をもってしっかりサインを出す。その上で必要なのは、ピッチャーとのコミュニケーション。倉さんには「ベンチに帰ったら必ずピッチャーと話せよ」というふうにも言われましたし。その中で、失敗したことだったり、よかったところを、次につなげていくように、と。本当に“会話なくしていいリードはできない”と思いました。
──捕手王国と言われる
広島。打てる捕手もたくさんいます。ただ、先輩たちに勝っていかないと正捕手はつかめません。
持丸 今春はオープン戦で一軍の試合に出させてもらったことで、いい意味で余裕を持って二軍の試合でも堂々とプレーできている自分がいるのかなと思います。バッティングだけではなく、守備の面でも自分のやりたいことが明確にはなっている。もちろん、まだまだなところもありますし、なかなか勝ちゲームにつながらない試合もいくつかあるので、自分が試合に出るときには何とかいいリードをして。倉さんに教えていただいた部分もたくさんあるので、そういったものを引き出しながら勝ちゲームにつなげられたらなと思っています。
──勝ちゲーム=いいリード?
持丸 いかに最少失点で、ゼロで抑えられるかというところは自分の中でも求めているところなので。ピッチャーの調子が良かろうが悪かろうが、何とかゼロに抑えてというところは、本当にいいリードにもつながるのかなとは思っています。
持丸泰輝 PERSONAL DATA
【PROFILE】 ■
持丸泰輝(もちまる・たいき)
■2001年10月26日生まれ
■177cm/82kg
■右投左打
■北海道出身
■[甲]旭川大高-広島20育(1)
旭川大高では2年夏、3年夏と2度の甲子園出場。リストが効いたスイングで高校通算17本塁打の強肩強打の捕手として、2020年育成ドラフト1位で広島入団。2年目の昨季は二軍で捕手ではチーム最多46試合に出場。7月以降は3割を超える打率をマークした。今春は一軍キャンプを完走し、オープン戦にも出場。
【2022年ウエスタン打撃成績】(4月10日現在) 10試合出場、打率.182、4安打、0本塁打、2打点、0盗塁
【ストロングポイント】 真っすぐに振り負けない
C担こぼれ話
キャンプ初日からいいアピールを見せていた持丸泰輝選手ですが、実は初めての一軍キャンプに「自分自身ついていけるかなという不安もありました」。ただそれも、いつしか楽しさのほうが大きくなっていったとのこと。オープン戦ではたくさんのお客さんの前でプレーし、球場の盛り上がりを肌で感じて、「一軍っていいな」と。次は2ケタ背番号で一軍の良さを味わってもらいましょう。(Sg)