開幕直前に支配下登録を手にした、将来性たっぷりの大型右腕だ。開幕戦で早速、中継ぎとして一軍デビュー。日々、自身が抱える課題と向き合いながら、まずは救援として再昇格を目指していく。 取材・構成=阿部ちはる 写真=井沢雄一郎 
投手/入団3年目/21歳
2020年の育成ドラフト2位で入団した小峯新陸がついにプロ野球選手としてのスタートを切った。1年目は体作りに励み、2年目は二軍で9試合に登板。そして3月19日、支配下登録を勝ち取った。自慢の直球に磨きをかけ、一歩一歩ステップアップしてつかんだプロの舞台。一軍での経験を糧にさらなる飛躍を目指す。 ──ビハインドの状況ではありましたが3月25日の開幕戦(対
ロッテ、
楽天生命パーク)でプロ初登板となりました。
小峯 自分が経験したことがないほどたくさんのお客さんの前で投げることになり、緊張しかしなかったですね。8回に「次、行くよ」と言われた瞬間に心臓が飛ぶくらいドキッとして、「うわ、投げるんか」って(笑)。立場的にビハインドの状況で投げることは分かっていたので、覚悟はしていたのですが……。
──初マウンドは2四球とヒットで満塁となってしまいます。
小峯 体が硬く、うまく動かせていないな、というのがあったのですが、何とかゼロで抑えようという気持ちで投げました。ただ満塁になった時点で、パッと緊張が抜けて、もうやるしかないな、と。
──2度目の登板となった4月30日の
ソフトバンク戦(楽天生命パーク)では2アウトから連打で初失点を喫しました。
小峯 ストレートで押し切れなかったところが反省です。また、ストライクが欲しいという気持ちが強まり、少し甘く入ったりストレートの球速が若干遅くなって、それをとらえられた感じはありましたね。やはり相手は一軍の選手だなとあらためて感じました。
──投球面に関しては新型コロナウイルス感染の影響も大きかったと思います。
小峯 そうですね。1週間以上まともに練習できない中で、いざキャッチボールとかをやっていくとキャンプで積み重ねて持ってきたものが一気になくなると言いますか……。僕は経験が浅いのでそこの切り替えがうまくできなくて。今もあまり状態は良くないのですが、気持ちの面でもそうですし、技術的にももっと、自分で修正できる能力がほしいなと思いましたね。とにかく早く自分の調子を戻せるようにしていきたいなと思っています。
──一軍での経験を経て現在はどういったことに取り組んでいるのでしょうか。
小峯 一軍のピッチャーと比べてストレートの安定性という部分で全然レベルが違うなと実感しました。とにかくストレートの質を高めることを意識しています。

今季開幕戦でいきなり一軍デビューし、緊張する中で無失点に抑えた小峯[右]
速い球は魅力
──入団以降、支配下に上がるために重点的に取り組んできたことは?
小峯 入団当初はストレートが145キロくらいで、周りと比べて何にも特長がなかったと自分では思っていて。そこでどうやってこの世界で生き残っていこうかと考えたときに、速い球は魅力かなと。そこでウエート・トレーニングやいろいろな人に話を聞き、体の勉強にもしっかりと取り組んできました。その成果が少しずつ結果として出てきたのかなと思います。
──現時点での最速は154キロ。一軍で通用する真っすぐになってきたことが支配下に上がれた最大の要因だった、と。
小峯 そうですね。今の楽天には150キロ以上の球をポンポンポンと投げる投手は少ないと思うので、そこになんとか入り込もうと思ってやってきました。
──春季キャンプでのアピールが支配下につながりましたが、昨オフから手応えはあったのでしょうか。
小峯 フェ
ニックス・リーグで投げていたときは良かったり悪かったりが続いていました。則本(
則本昂大)さんと自主トレをご一緒させていただき、手応えは少し感じましたが、試合で投げてみたら分からないなという不安も大きかったです。ただ、則本さんの球を近くで見ることができ、どういう体の使い方をしているのかなどを聞けたことは一番の収穫でした。
──印象に残っているアドバイスは?
小峯 前に力を伝えるために下半身をどのように動かすかという話から、ゾーンで勝負すれば確率は上がる、というような実践的な話までしていただきましたね。
──前に力を伝える、とは。
小峯 下半身を瞬発的に前にバンと出すと言いますか、軸足を前に強く蹴るようなイメージです。
──則本選手はかねてから目標とする選手の一人として挙げていましたね。
小峯 やはり則本さんの真っすぐと、試合を圧倒する姿というのは先発投手としての理想像です。あのレベルのピッチャーにならないと、一軍で長く投げることはできないのだと思っています。
──先発として勝負したい思いもある?
小峯 1年目は先発として投げていましたし、考えていないわけではないのですが、やはり一軍の戦力にならなくてはいけないので。まず求められていることがしっかりできてから、将来的に先発に挑戦できたらいいなと思っています。
小峯新陸 PERSONAL DATA
【PROFILE】 ■小峯新陸(こみね・しんり)
■2001年12月1日生まれ
■189cm/90kg
■右投左打
■鹿児島県出身
■鹿児島城西高-楽天20育(2)、22
鹿児島城西高時代は最速145キロを誇る大型右腕として注目されたが、腰や右肩の故障もあり本領発揮はならなかった。それでも潜在能力に高さに着目した楽天が育成2位で指名して20年に入団。3年目の春季キャンプで一軍に抜てきされて猛アピールし、開幕前に支配下昇格。中継ぎ右腕として一軍再昇格を目指す。
【2022年イースタン投手成績】(7月31日現在) 14試合登板、0勝0敗0S、13回2/3、6奪三振、防御率3.29
【ストロングポイント】 進化を続けるストレート
【目標とする選手】 西武・
平良海馬 E担こぼれ話
中継ぎ投手の理想像として「圧倒的なスピードボールで打者を圧倒している」と西武の平良投手の名前を挙げました。スピードに関しては「まだまだ出せる余力はある」とさらなる球速アップにも励んでいます。今年のオールスターを見て「早くあの舞台に立てる投手になりたい」と青写真を描く20歳。プロ野球選手としてのスタートラインに立ったばかり。今後の活躍が楽しみです。(C)