4年ぶりにパ・リーグ制覇を果たしたが、常勝軍団復活へはここから2年、3年、そしてその先も、連覇を続けていかなければならない。チームのさらなる繁栄のために、必要なものとしては“新しい力”。一軍デビューを目前にしたドラフト1位ルーキー左腕は、間違いなくその筆頭だ。 取材・構成=菅原梨恵 写真=湯浅芳昭、BBM ついにベールを脱ぐ。ポストシーズンを前に、一軍ではさまざまな“お試し”も実施中。ドラフト1位ルーキーにも声が掛かった。ある意味、一軍首脳陣からはずっと目をかけてもらっていた。10月1日、左腕はどんな投球を披露するのだろうか。 ──1年目のシーズンも、もうすぐ終わりを迎えます。
前田悠 めちゃくちゃ早かったですね。つい最近、ドラフトにかかったっていう感じなのに(笑)。
──充実した毎日を過ごしているから、余計にそう感じるのでは?
前田悠 新人自主トレから始まって、いろいろな方のサポートもあって順調に、ケガなく来られています。自分1人だけだったら、もしかしたらケガをしているかも。そういったところでは時にセーブをしてもらったりもして、倉野さん(
倉野信次、投手コーチ[チーフ]兼ヘッドコーディネーター[投手])をはじめとして感謝したいなと思います。
──『特別育成プログラム』の下で、ここまでやってきました。
前田悠 僕たちの同期のドラフトは、特にピッチャーは皆さん即戦力という形で入っている。一方で僕は即戦力としての評価はあまりなかったですし、僕自身も別に1年目からバリバリ一軍で、というよりは「投げられたらいいなー」ぐらいの感じで思っていた。それよりも、1年目でしっかり体をつくるほうが大事で、序盤のほうは体づくりを優先してやっていたので。それが今にもつながっていると思います。
──定期的に倉野投手コーチや
星野順治コーディネーター(投手)とミーティングを重ねてきました。具体的にどんな話をしているのですか。
前田悠 試合の振り返りと、僕の中で良かった点、悪かった点を発表して、その後に倉野さん、星野さんから客観的な評価、どこが良かった、悪かったかを言ってもらっています。そして、課題とも向き合いながら、次回登板については「これを意識して取り組もう」というのをZoomで話していました。
──定期的にミーティングをしていることでのメリットは、どのように感じているのでしょうか。
前田悠 自分だけ毎試合後にミーティングをやらせてもらっていて。それだけ期待をされているということ。それに応えられるように、自分の力を出すという大事な時間です。そのミーティングの中で一つ、基本的には真っすぐを中心に投げるということになり、真っすぐの出力アップなどに関しての課題が出た。そこから本当に今まで以上に真っすぐに関して向上心を持つようにはなったので、ミーティングがあって1つ、2つ、成長できたかなというふうに思います。
──真っすぐに対して、自分なりにこだわりを持っている理由は?
前田悠 球のスピードが出ることに越したことはない。別にスピードが出て悪いことはないので。やっぱり同じ150キロ、145キロでも、速いと思わせられるようなキレなども磨きたいです。やっぱり真っすぐがないと、自分の自信を持っているチェンジアップといった変化球も生きてこないですからね。その変化球を生かすためにも、真っすぐを強くしたり、スピードを上げていったりというのは今、目指しているところですね。
──質の高い真っすぐを求めている前田悠投手ですが、今の真っすぐは何点ぐらいですか。
前田悠 まだまだ半分、50点ぐらいですね。それでも前と比べたら、キャッチボールでも投げた感覚が良くなっているなというのは、少しずつ感じてはいるので。あとは試合の中で、真っすぐで空振りやファウルが取れるか。キャッチャーの人からも(球が)強くなっているというのは言ってもらえていますし、少しずつですけど、成長はしていると思います。
課題をクリアして
──8月3日に二軍に合流。二軍が主戦場になっての変化は何かありましたか。
前田悠 やっぱり二軍は先輩方が多くいる中でいろいろな話を聞けますし、一緒にやれているだけでプラスになります。
──何か具体的にすごく参考になったなとか、どなたかのアドバイスで意識していることはあったりしますか。
前田悠 僕の場合は、見ながら「たぶんこういう意図でやっているんだろうな」と考えたりしているんですけど、東浜(
東浜巨)さんや板東(
板東湧梧)さんの試合を見ていて、簡単に抑えるというか、自分の抑え方を知っているなと。同期で入った岩井(
岩井俊介)さんとかも、一軍で登板を重ねる中で、プロのバッターに対する抑え方が分かってきているなと。参考にしてやっていっている途中です。
──前田悠投手自身がバッターと対戦してみて感じることはありますか。
前田悠 やっぱり高校のときに比べれば、簡単に三振もしてくれないですし。制球面に関しては本当にレベルが違うなと思って。それでも、初登板のときから今までを見たら、少しずつ自分の抑え方や、バッターを見て投げるという部分で成長をしているんじゃないかなと思います。
──前田悠投手の口からはよく「課題」という言葉が聞かれます。課題のレベル自体も確実に上がってはきている?
前田悠 (二軍戦)初登板(4月20日のウエスタン・
広島戦=タマスタ筑後)のときはいろいろなミスをして、そこから練習していって、当時の課題は少しずつ解消されていっている。その間にまた新しい課題が出てきて、それをクリアして、という積み重ねだと思います。
── 一番、意識していることは?
前田悠 引き続き、ピッチング以外のフィールディングなどはやっていかないと、とは思っていて。あとは技術的なことで言えば、真っすぐとスライダー、カーブの曲がり球を、もっともっと精度を上げていくのを今、課題としています。

投球“+α”の部分でも成長が求められている。小笠原二軍投手コーチ[写真左]とベースカバーの練習に取り組む日も
──プロに入ってから、新しい目標が出てきたりしましたか。
前田悠 やっぱりエースになりたいというのは、プロに入ってから強くなりましたね。一番になりたいという気持ちが出てきた。将来的に周囲から「一番」と言われるような投手になりたいなというふうに思っています。
── 一番の投手とはどんな投手?
前田悠 高校のときは自分たちの代でエースだったんですけど、そのとき西谷先生(西谷浩一、監督)から「どんなときでも抑えられるのがエース」と言われていました。負けているときでも勝っているときでも、同じように抑えられるようなピッチャーになりたいと思っていますし、あとは、僕が投げて負けたら仕方がないと言われるようなピッチャーになっていきたいです。
アレコレQ&A
Q. ココに注目! 誰にも負けない強みは? A. 野球のときは強いと思いますね。落ち込んだことも、今のところほとんどない。特に技術的なところで「今日、ダメだったなー」と落ち込むことはないので。試合前はちょっとイライラさせるというか、自分で自分にハッパをかけます。そのほうがスイッチが入りやすいので。
Q. 今、一番、行ってみたいところは? A.インドアでも、沖縄に興味あり! 僕、インドアなんですよね。別に出掛けても特にすることがないし。でも、沖縄は行ってみたいです。ジャパン(U-18)で一緒だった東恩納(
東恩納蒼、沖縄尚学高→中大)からいろいろな話を聞いていたら、楽しそうやなーって。海もあるし、国際通りとかもあるし。あとは、グランピングとか。インドアでも興味をそそられますね。
Q. 最近のBIGニュースを教えて! A.使い道、発見しました 寮(の部屋)にベランダがあるんですけど、ずっと使ってなくて。別にいらんなーって思っていたんですけど、急にいいなーって。ベランダに椅子を置いて、そこで本を読んだり、ネトフリ(Netflix)見たりするのにハマっています。椅子は買うのが嫌だったんで(笑)、廣瀬(
廣瀬隆太)さんに借りました。って全然、BIGじゃなかったですね(笑)。
Q. 8月4日に19歳の誕生日。チームメートから何をもらった? A.オシャレなものがいっぱい! 岩井(岩井俊介)さんから香水をもらって、廣瀬さんからはホームランTシャツ(※廣瀬選手のプロ初ホームラン記念グッズ)をもらって(笑)。村田(
村田賢一)さんからはスニーカーを買ってもらって、凌(
大山凌)さんからは空気清浄機を買ってもらって。宮里(
宮里優吾)さんからはバケハ(バケットハット)を買ってもらいました。ブランド物とかは自分でも見たりはするんですけど、結局「いらんなー」ってなるんで、たくさんいただけてうれしかったですね。
<周囲の声>小笠原孝[二軍投手コーチ(チーフ)]から見た期待感と可能性
「投球や球に限らず、“嗅覚”がすごい。何か感じることができる投手なんですよね。相手バッターの狙い球を察知したり、あとは、ほかの投手を見て『こうやって投げているのかな』とか自分なりに感じ取れる。観察力も含めてすごいなと思いますね。
日々の成長というところも、目に見えて分かるんですよ。特に、試合に出た1試合1試合での成長度合いが素晴らしい。ものすごく“頭”を使っているんだと思います。『野球脳』がものすごく高いのかな、と。ただ、本人に言うと調子に乗るんでね(笑)。それでも、そこは一番、大事していってほしいですし、その上で課題にどう取り組むのかはしっかりと見ていきたいですね」
【2024年打撃成績】(全日程終了) <一軍成績>
12試合登板、4勝1敗1S、65回、58奪三振、防御率1.94
<二軍成績>
1試合登板、0勝0敗0S、3回、0奪三振、防御率18.00
PROFILE まえだ・ゆうご●2005年8月4日生まれ。179cm76kg。左投左打。滋賀県出身。[甲]大阪桐蔭高-
ソフトバンク24[1]=1年。