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<TEAM STAFF CLOSE UP>育成強化部DAチームチーフ・古川祐樹(巨人)「選手の感覚とデータを融合させていくことが大切」

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新たに生まれ変わったジャイアンツ寮に“ラボ”、そして今年開場したジャイアンツタウンスタジアムと、球団の育成に懸ける熱意と本気度は年々、増している。そのひとつが昨年新設された育成強化部の中の「DAチーム」だ。データの“意味”をしっかりと選手へ落とし込み、さらなる成長へのヒントを与えていく。
取材・文=杉浦多夢 写真=BBM

育成強化部DAチームチーフ・古川祐樹[巨人]


データへの意識の変化


 巨人に「データ分析室」が新設された2018年、立ち上げのメンバーに指名された。もちろん、断る理由はなかった。各球団が高性能弾道測定器「トラックマン」を導入し、データを重視する流れが生まれつつあった中、スコアラーが行っていたデータ分析を専門に担う部署の新設。現役を退いてから打撃投手を務めていたものの、高校時代から理数系が得意で、大学でもプロ選手としては珍しい理系出身だった古川祐樹氏にとって、新部署への異動は願ってもない話だった。

「現役のときはまだ、データや情報というのがないに等しい状況で、イチからの勉強でしたが、自分でデータを触るようになって『こんなに面白い世界があるんだ』と。一度、覚えてしまえばスルスルと前に進んでいけたので、『理系でよかったな』と思いました」

 ただ、「1年目、2年目はかなり苦労した」と振り返るように、パフォーマンス向上のためにデータをどのように現場の選手やコーチに落とし込んでいくか、ということに関しては難しさがあった。まだデータに対するアレルギー、「数字だけで評価するな」という空気が残っていたことは確かだ。マニュアルもお手本もない。データをどう活用するのか、チーム全体に周知させることが必要だった。

「選手によって求めるものは違いますし、言ってほしいタイミング、掛けてほしい言葉も違います。データを見せながら、対話を重ねながら、少しずつ理解が進んでいきましたし、それは今も変わりません」

 トラックマンに始まり、持ち運びも可能な測定器「ラプソード」、打撃におけるスイング軌道などさまざまな数値を測定する「ブラスト」、多くのデータ測定器が導入されるとともに、ハイスピードカメラを含めた映像機器の性能も上がっていき、そうした機材が練習のグラウンドにあるのが当たり前になっていくと、自然に選手やコーチの意識も変わっていった。

「18年からの7年間における一番の変化は・・・

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