現役時代は捕手としてプレーした中西親志さん。引退後もさまざまな道でヤクルトに携わり続け、現在は埼玉にある選手寮・戸田寮にて寮長を務めている。チームの将来を担う若者をどのように育てていくのか。球団への感謝の思いを胸に、選手と向き合う毎日を過ごす。 取材・文・写真=小林篤 
戸田寮 寮長・中西親志[ヤクルト]
寮にも『ノムラの教え』
焼けた肌からも現場に長くいたことがよく分かる。寮長に就任したのが2024年1月1日。8年間務めたスカウトからの異動だった。将来有望な選手を球団に送り込む立場から、入団した選手を育てる立場へ。「プロ野球選手としてどう成長させるか。この部分での戸惑いはありました」と就任当時を振り返る。技術の教育はコーチの役目、心の教育は寮長の役目と自負する。プロ野球選手として、社会人としての振る舞い。名将の言葉を用いてモットーを挙げた。
「『人間的成長なくして技術的進歩なし』。野村(
野村克也)さんの言葉です。あいさつだったり、時間を守るのは社会人として当たり前のこと。24時間、プロ野球選手としての自覚を持ってほしい。教えるというのもおこがましいですが、要は確認作業。企業でも社員研修があるじゃないですか。そんな感じだと思いますよ」
1988年にドラフト5位でヤクルトに入団し、捕手として96年まで現役生活を送った。90年代に黄金期を築いた野村監督による『ノムラの教え』が生きるのはグラウンド上だけではない。
働く男の朝は早い。宿直の日は朝5時30分に起床。セットした2個の目覚まし時計の音で1日の始まりを迎える。ポストされた朝刊を取り、ボイラーにスイッチを入れ、お風呂を沸かす。そして神棚に手を合わせる。モーニングルーティンが終われば、太陽の上昇とともにスタッフが続々と出社。そうこうしていると朝ご飯を食べに選手が食堂へやってくる。
寮内の問題解決はもちろん、現場へ足を運ぶことも欠かさぬ仕事だ。およそ1キロ離れた戸田球場で行われる練習、試合で選手の姿をチェック。普段の生活だけでなく・・・
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