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デーブ大久保コラム

制球難などは突然起こりうるものです。克服法は自分で見つけ出すしかないんです

 

今季は開幕から制球難に陥ってしまった藤浪。8月27日の試合では好投しました。結局デッドボールで自滅しましたが、内容としては復調へ悪くない投球だったと思いますよ/写真=桜井ひとし


 友人でプロゴルファーの横田真一プロがイップスになったときの話を聞いたことがあります。彼は約70人のイップス経験者に話を聞いて、何が一番良い治療なのかを導き出そうとしたそうです。その結果は……何一つとして一致した克服法はなかったとか。現在のスポーツ医学でも自立神経系の医学でも、これを治す方法は今のところないというのが、共通の見解のようです。

 私は、野球で一度もイップスになったことがなかったのですが、プロゴルファーとなったときに、突然バンカーイップスに陥りました。バンカーに入ると、ゴルフクラブを両手で握るとき突然力が入らなくなるんです。このときは、深堀圭一郎プロのグリップの握りをマネて何度も練習し、克服しました。

 やはりイップスというのは、メンタルな部分が大きいのです。ある捕手は、新人時代に大物投手から「しっかり返球しろ!」という厳しい言葉を言われ、突然イップスに。このときは、ミット側の左ヒジをしっかり投手に向けるようにして投げる練習で治していったそうです。

 野球の場合、投げるほうでイップスは発症します。打撃ではそういうことはないようです。この原因の一つに極限の緊張状態の中で、今まで投げていた腕の振りの軌道から、一連の投球動作が外れることで「脳」が「ダメ!」という信号を出すのだそうです。その克服法としては、上から投げていた腕を下手投げにすることが一番早いそうです。

 実際に現役選手の中にも、そういう選手は結構います。そして克服した選手もたくさんいます。これは自分にあった克服練習法を見つけていくしかないんです。あとは、内野手なら外野手に、捕手なら内野手にコンバートさせるのも一つの手ですね。また、投げる手と同じほうの足を同時に出して投げるなど、それぞれに合ったものを見つけていくしかないようです。

 選手たちは、常にイップスになる恐怖心を持っているし、明日はわが身、という思いもあるようなので、投手や野手が、そういう投球動作をしたり、エラーをしても、相手ベンチからのヤジは一切出ないモノなんです。私も経験がありますが、その瞬間、両ベンチがシーンとなるんです。

 なぜ、この話をしたかというと、イップスではないと思いますが、阪神藤浪晋太郎が、今年それに近い制球難で苦しんでいます。彼くらいの実績を残した投手でも、そうなる。これがプロ野球の厳しさ、怖さだということでもあります。

 投手の場合、制球難を克服するために、手首を使って投げる、スライダーなどを投げさせ感覚を取り戻させたりします。8月27日の巨人戦[東京ドーム]で6回まで完ぺきな投球で復活を見せた藤浪。7回、村田(村田修一)に当てたデッドボールはスライダー系。まさに克服をしようとしている最中のデッドボール。これはいい兆候だと、私は見ています。

PROFILE
大久保博元/おおくぼ・ひろもと●1967年2月1日生まれ。茨城県出身。水戸商高から85年ドラフト1位で西武に入団。トレードで巨人入りした92年に15本塁打。95年現役引退。野球解説者やタレントを経て、2008年に西武コーチに就任し日本一に貢献。12年からは楽天打撃コーチ、二軍監督を経て15年に一軍監督に就任した。15年限りで辞任し、16年から野球解説者をこなしながら新橋に居酒屋「肉蔵でーぶ」を経営している。
デーブ大久保の「さあ、話しましょう!」

デーブ大久保の「さあ、話しましょう!」

元楽天監督、現解説者の「デーブ」こと大久保博元氏の連載コラム。

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