
多くの選手と話しながら練習メニューを決めていますが、みんな素直で話をよく聞いていくれます[写真=藤井勝治]
いやあ、これで負けたらコーチの責任になるかな、と思っています。個人的にはおべんちゃらを使えない人間なので、これは素直な気持ちです。
私が現役のときから思っているのですが、
巨人というチームは球団が選手を大人扱いをします。いい意味でも、悪い意味でもガツガツする感じではないので、時にその選手の本当の感情が分からないことがあるのです。その意味でも今回コーチを引き受けたときに、その部分がすごく不安ではないですが、どうなるのかな、と思っていました。
実際に中に入り、3週間くらいが過ぎました。まずびっくりしたのは、全員がすごい能力を持った選手たちだということです。これまで指導してきたチームとの比較はできないですが、非常にみんな、才能にあふれています。そして何よりすごく素直なんです。
今回1日2000スイングなどをノルマにし、そこから打撃練習をすることを全員共通認識としましたが、これは選手たちに強制しているわけではありません。彼らにはまず、なぜ2000スイングが必要なのかを説明しました。その上で私は「こういうことをしたい」という提案をして、みんなの意見を聞きました。その上で選手たちが「やる」ということを申し合わせてスタートしました。
納得してやれば、絶対にやり切れます。そして能力の高い人間というのは「やる」と決めたらまずやってみる選手が非常に多いです。今回、巨人の選手たちは全員、黙々とこなしています。
しかも中にはすでにそれができている選手もいるんです。2000スイングはかなりハードだとは思います。でもすぐにこなせている。こうなると相乗効果も出てくると思いますし、早くノルマを終わらせることができれば、次の練習へ向かうことができますので、さらに打撃向上が見込めます。巨人ってそういう人材が集まっている? もしくはそういう選手を集めるスカウティングがあるの? と思ってしまっています。
あとは私たちコーチ陣が、その能力をどれだけうまく引き出せるかにかかっています。個人的には「コーチングとは?」という問いに対しては「継承」という答えを持っています。私が現役時代に行った練習で良いと思ったもの。そして、コーチ時代に指導して、良かったもの。そして解説者時代にいろいろな先輩や後輩、そして知り合ったスポーツ科学の先生から聞いた、良いと思ったもの。それらを自分の中で消化し、勉強して、その選手に合ったものを抽出し、伝えていく。それがその選手にうまくハマれば、成長の手助けができるのです。
能力の高い巨人の選手たちにも、そうして継承を伝えていくことで成長のひと役になればと思いますし、今から楽しみなシーズンになるのかなと期待しています。
PROFILE 大久保博元/おおくぼ・ひろもと●1967年2月1日生まれ。茨城県出身。水戸商高から85年ドラフト1位で
西武に入団。トレードで巨人入りした92年に15本塁打。95年現役引退。野球解説者やタレントを経て、2008年に西武コーチに就任し日本一に貢献。12年からは
楽天打撃コーチ、二軍監督を経て15年に一軍監督に就任した。15年限りで辞任し、16年から野球解説者をこなしながら新橋に居酒屋「肉蔵でーぶ」を経営している。
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