
4月18日の阪神戦[ナゴヤドーム]で二走の京田は送りバントから守備の乱れもあって一気に本塁へ/写真=松村真行
不十分な機動力
ドラゴンズがなかなか波に乗れないですね。4月18日時点で3勝10敗2分の最下位です。数字的にすぐ分かる課題は得点力不足。リーグ5位の
ヤクルトと試合数は同じながら12点も離されています。打率はリーグ4位の.246ですから、いかに残塁が多いかが分かります。
ただ、打線のパワー不足は予想できたことでもあります。特に広いナゴヤドームでは、そうそう大量点は取れません。そのあたりは足と小技でカバーしていくという戦略だったと思います。実際、盗塁、犠打とも少ないわけではありませんが、得点につながっていないということは、それが不十分と言えるでしょう。
起用法が注目されていた新人の
京田陽太は、
堂上直倫の不振もあって、ようやくショートのレギュラーに固定されました。京田は開幕スタメンでライト前にタイムリーを放つなど、まずまずのスタートを切りながら、以後は左投手の先発時などでスタメンを外れるときもありました。
もちろん、プロですから、京田自身がしっかり結果を出せば、問題もなく、使ってもらえます。おそらく、競争させながら育てる、という首脳陣の考え方もあったのかもしれませんが、私は我慢して使ってほしいなと思って見ていました。打線の力不足をカバーし、守り勝つ野球を目指すなら、センターラインはしっかり固める必要があると思ったからです。
また、確かに、打つほうでは打率.216と苦戦していますが、バッティングには、実戦でピッチャーの球のスピードや変化へ慣れることも必要です。さらに言えば、特に新人は、練習でいくら打つより、試合のヒット1本が自信につながるものです。
加えて、京田には足という武器があります。現在、内野安打が4本、18日の阪神戦では、素晴らしい走塁でホームに生還したシーンもありました。この足は守備にも大きくプラスし、守備範囲の広さは光ります。
内角打ちの重要性
バッティングにも可能性はあると思います。キャンプで見たときは、インコースをしっかり右方向に引っ張ることができるかが課題だなと思っていましたが、シーズンに入ってからは時折ですが、それができています。
この連載でも何度か書いていますが、左バッターがレギュラーを取るためにはインコースをしっかり引っ張れることが重要です。インコースはステップして前に出ていくとき、ボールとの距離を取るため少しポイントが前になりますが、これをさばけるようになれば、ポイントが後ろでもいい真ん中から外のストレート、外に逃げる変化球とも比較的余裕を持って打てるはずです。もちろん、言葉で言うのは簡単ですが、プロの投手のインコースは決して簡単な球ではありません。京田もまだまだ時間がかかるはずです。ただ、相手投手に「インコースに投げておけば安心」と思わせないためにも、ここぞと狙い、球が甘くなったときは強い打球を打ち返せるようになってほしいですね。
盗塁もいまは1ですが、もっともっと初球から積極的に走ってほしいし、走らせてほしいとも思います。ある意味、京田の足をフル活用することがドラゴンズ浮上のカギと言えるのかもしれないですね。
PROFILE たつなみ・かずよし●1969年8月19日生まれ。大阪府出身。PL学園高からドラフト1位で88年
中日入団。1年目からショートのレギュラーをつかみ新人王、ゴールデン・グラブに。その後、95年から97年とセカンド、03年にはサードでゴールデン・グラブに輝き、96年にセカンド、04年にサードでベストナインを手にしている。09年限りで引退。通算2586試合2480安打、135盗塁、打率.285。487二塁打は日本球界最多記録でもある。