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高校野球、タイブレーク導入の是非

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3月26日の第3試合、福井工大福井と健大高崎の試合も延長15回引き分け。史上初の同日2試合引き分けとなった



 甲子園球場内の大会本部前にはホワイトボードの掲示板があり、期間中随時、連絡事項などが広報される。

 3月26日、18時24分。第3試合が延長15回引き分けとなった瞬間、大会役員が第2試合後に貼った一枚のリリースをはがした。そばにいた〝目撃者〟は「そりゃ、すごいスピードやった」と苦笑していた。

 第2試合、福岡大大濠と滋賀学園が1対1のドローとなった時点で、27日は2回戦残り3試合に加え、この再試合の計4試合が組まれることが決定。球場内のオーロラビジョンにも表示され、何度もアナウンス。

「まさか、自分たちもやるとは――」

 第3試合、健大高崎・青柳博文監督の試合後の談話だ。健大高崎と福井工大福井との2回戦も7対7、大会規定により15回打ち切りとなった。2試合連続での引き引き分けは、夏を通じても史上初のことだった。

 通常、試合後の整列を終えると、両校は健闘を称える握手をし、勝者が校歌を歌う。だが、引き分けの場合はその〝儀式〟もなく、それぞれアルプス席へのあいさつに向かう。

 その直後、オーロラビジョンは突然、真っ暗になり、27日の試合日程の「再変更」が発表された。

 当初の予定どおり、27日は2回戦3試合。そして、28日は再試合2試合が組まれることとなった。15イニングを戦った4校には、1日の休養日が与えられた。連戦を覚悟していた福岡大大濠と滋賀学園にとってみれば、朗報だったに違いない。特に福岡大大濠の右腕エース・三浦銀二は15回を投げ、196球の熱投。昨秋の公式戦も13試合、1度もマウンドを譲ることはなかった鉄腕(13完投のうち6完封)であるが、中1日で登板できるのは幸いと言える。

 しかし、28日に試合が組まれることにより、21日(大会第3日)の雨天中止を加えて「2日順延」の扱いとなり、準々決勝翌日に設けられていた「休養日」がなくなった。つまり、28日に戦う4チームは、決勝まで進出した場合は「4連戦」という超過密日程と向き合うこととなる。

 そこで浮上するのが、選手の健康管理。すでに日本高野連ではタイブレークの扱いについて協議しているが、今夏の甲子園までは導入しないことが決まっている(甲子園につながらない春季大会では一部導入)。今回のWBCで、侍ジャパンはオランダとの2次ラウンドでの一戦をタイブレークの末に勝利を手にした。同ルールも一般的に定着してきた〝感〟はある。

 今春、女子部員(マネジャー)が条件付きで、大会前の甲子園練習への参加が容認。日本高野連関係者は言う。「高校野球には守るべきものもあるが、柔軟に対応していく部分もある」。タイブレークをめぐる議論は、一つの決断に迫られている。

文=岡本朋祐 写真=BBM

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