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2017ペナントレース/白球の行方

坂本勇人のように!巨人・岡本和真と高橋由伸監督の挑戦

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開幕戦で拙守はあったが、6回に見事に今季初安打をマークした岡本



 巨人高橋由伸監督は最後まで、岡本和真を信じ、我慢することができるだろうか。

 3月31日、巨人は中日を本拠地・東京ドームに迎え、開幕戦を戦った。就任2年目を迎える高橋監督は、七番・レフトに高卒3年目の岡本を抜擢している。右の和製大砲はオープン戦の19試合すべてに出場し、規定打席以上ではチームトップの打率.241、2本塁打、4打点をマーク。春季キャンプ中の2月は練習試合を含めて対外試合10打数無安打などもあったが、直後に3安打を放って一軍に踏みとどまると、3月23日の日本ハム戦(東京ドーム)では代打バックスクリーン弾。開幕に向けて徐々に状態を上げていた。

 入団以来、近未来の四番候補と期待される岡本に対し、高橋監督も「そこ(本塁打)が一番の魅力。どっちの岡本を信じようか」と開幕直前に悩みを明かしていたが、20歳の才能を信じたかっこうだ。助っ人3投手の継投で開幕戦勝利を飾ったように、巨人には外国人野手をサードのマギー1人しか登録できないチーム事情もある。昨季は24本塁打を放ったギャレットがレフトを守ったが、3投手を登録した都合で開幕は二軍。出場機会を広げるために外野に挑戦していた岡本(内野手登録)には、これ以上ない追い風だった。

 ただし、開幕戦はホロ苦いスタートとなる。初回二死、ゲレーロの詰まった飛球に対して判断を誤り、二塁打に。5回無死一、三塁では左中間の飛球をグラブに収めたが、打球への入り方が悪く、一塁走者にもタッチアップを許すなど、不慣れな守備で記録には残らないミスを連発、あらためて課題が浮き彫りとなった。しかし、ここで下を向くことはなかった。6回無死一塁。この日3度目の打席に立つと、初球ファウルの後、2球目の甘いスライダーを強振し、三遊間を破る今季初安打をマーク。代走を送られたがベンチで満面の笑顔を見せた。

 このヒットを見て、思い出したのが坂本勇人の若手時代である。高卒2年目の2008年、19歳ながら開幕戦の先発セカンドに抜擢。この試合で当時ショートのレギュラーだった二岡智宏(現一軍打撃コーチ)がケガをしたため、試合途中にショートへ回っている。この開幕戦で坂本は失策を犯しているのだが、先発だった髙橋尚成にベンチで謝罪した際のエピソードをのちに明かしてくれたことがある。

「ベンチに戻ってヒサさんに『すみません』って謝ったんですけど、『ああっ?』ってキレられて(笑)。でも、仕方ないですよね。だって、まだ2年目ですもん。使った監督(原辰徳監督)が悪い」とケロリとしていたそう。その後、坂本は二岡が戦列に復帰してもショートの座を譲らず、全試合スタメン出場(高卒2年目ではセ・リーグ史上初)。現在のように、日本を代表するショートストップへと成長を遂げた。

 岡本もまだ、高卒3年目だ。外野を始めてからまだ半年も経っていないのだから、レフトでの起用はすべて高橋監督の責任である。小さくまとまらず、守備のミスは、バットで取り返すくらいの気持ちでいい。数年後、この日のエピソードも、きっと笑い話になっている。

文=坂本匠 写真=大泉謙也

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