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1時間52分の雨天中断を挟み早実が東京大会8強進出

 

1回裏、相手のシフトをかいくぐって先制の適時打を放った清宮



 集中力を高めるには難しいコンディションだった。4月9日、8強進出をかけた早実と共栄学園高による春季東京大会4回戦。神宮第二球場は、朝から冷たい霧雨が降り注いでいた。アンツーカーは、シートがかぶせたままである。

 試合前ノックも、内野はファウルグラウンドで7分間。カーペットタイプの人工芝は多くの水を含んでおり、滑りやすい悪条件の中だったが、予定どおり10時にプレーボールされた。

 そんな�爛皀筌皀筬瓩鮴擇衫�く鋭い打球が、試合早々に飛び出した。清宮幸太郎(3年)のバットからである。1回裏一死二塁。2、3回戦同様、超高校級スラッガーを前にして、共栄学園高はシフトを敷いてきた。

 中堅手は右中間、右翼手もフェンスに張り付き、遊撃手は二塁ベース後方にポジショニング。清宮はカウント1ボールからの2球目をたたくと、弾丸ライナーが、あっという間に、遊撃横を抜けていった。まさに、相手シフトをかいくぐる中前打である。

「ショートがすごいところにいた。打った瞬間、捕られるかと思ったが……。バッティングを変えることはない」(清宮)

 主将の先制打で勢いに乗った早実は2回、打者11人の猛攻で5得点と試合の主導権を完全に握ったかに見えたが……。

 清宮にとっても�爛皀筌皀筬瓩鯤Э,垢訛農覆任△辰燭飽磴い覆ぁ�2、3回戦と本来の当たりが出ず、入学以来、初めてと言っていいほどのスランプ状態にあった。センバツ2試合を含めて、公式戦5試合目にして�爍廓�生初打点�瓠B茖佳農憤聞澆龍縮�は、高校通算80号に王手をかけていたホームランに集約された。

 第2打席は敬遠気味の四球で歩かされると、スタンドは「ウワァッ……」とため息。4回裏、先頭打者の第3打席も初球に死球で、傘をさした観衆からは「アッ〜……」とさらに、大きなため息がもれた。

 4回を終えて8対1と早実のコールドペース(7回7点差以上)で試合は進んだが、粘る共栄学園高に5、6回に2点ずつを挙げられ5対8と猛追される。

 清宮の第4打席は6回裏の先頭打者。流れを引き戻したい場面、変化球を引っ掛ける。通常ならば平凡な二ゴロも、共栄学園高は一、二塁間を詰めていたシフトが裏目に出て内野安打。過剰なまでの警戒レベルだが「安打ならOK」と受け止めるしかない。

 7回裏は二死一、二塁の好機もバットの芯でとらえることはできず中飛。結果を求める気持ちが先行してしまっているのか、快音は聞かれない。

「怪物」と言われている清宮も�犢盥酸賢瓩琉賁未鬚里召�せる。8回表、遊ゴロの送球のショートバウンドを捕球ミス。ハンドリングが非凡で、これまでも何度もカバーしてきたが、やはり、気持ちのコントロールが難しかったのか……。この回1失点で、雨脚が強くなり、12時10分、8回裏の攻撃前に試合は中断された。

 1時間52分後の14時2分に再開。早実は2点を追加し10対6と逃げ切り態勢に入りたかったが、再び雨が強くなる。9回表、6回から救援した2番手の左腕・石井豪(2年)の制球が定まらず、野手もボールが手につかない。一死一、二塁のピンチだったが、ここを石井が気迫で切り抜けた。

 準々決勝進出(4月15日、10時、神宮第二球場予定)を決めた清宮は、厳しい試合後にこう言った。

「応援してくださる方が待っていたので、負けられない。その人たちのためにも勝てて良かったです」

 早実はこの試合、今大会初めて応援部、チアリーダー、吹奏楽部を動員。父兄をはじめ、多くの関係者が一塁スタンドを埋めた。

『去華就実のこの校風を 高くぞ持するわが健児』

 寒さを吹き飛ばすかのように、勝利の校歌を声高らかに歌い、気持ち良く家路についていた。

文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎
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