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“神奈川No.1投手”本田仁海(星槎国際湘南高)が“調整ミス”もチームを16強へ導く

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状態が悪いなりにも7回2安打無失点にまとめ、チームを16強へ導いた本田



 4月16日、星槎国際湘南高は神奈川県大会3回戦で川和高を5対2で下し、4回戦進出を決めた。「神奈川No.1投手」と言われる本田仁海(3年)は、7回2安打無失点と貫録の投球を見せた。

 8回1失点だった前日の2回戦(対湘南台高)からの連投。「持ち味はコントロールですが、仲間に迷惑をかけた。昨日、今日と悔いの残る試合です」と反省が口をついた。確かにボールがばらつく場面もあったが、要所ではキレのあるボールで封じている。

 しかし、試合後、土屋恵三郎監督から衝撃の事実が明かされる。

「調整ミス」

 大会前にインフルエンザを発症し、出遅れをカバーするため、最近は毎日のように打撃投手を務めてきたという。通常、試合前は球数を制限していくのが一般的であるが「1日2回も入る(苦笑)。アウトローに気持ち良く決めて、そこでゲームをやってどうするんだ? と思ったが……」と土屋監督は振り返る。「投げ過ぎだと思った」と指揮官は、練習がピークであることも想定済みで、15、16日と2日続けて先発で起用した。

 母校である桐蔭学園高で10度の甲子園出場を誇る名将の目は確かであり、本来の調子とは程遠かった。だが、悪いになりに結果を残すのがエース。クイックなど、試合中も工夫を凝らして目の前の打者と対峙した。「3連投までなら大丈夫。今日は4連投くらいの感じだった」(土屋監督)と、「調整ミス」を春の段階で経験できたことが財産ととらえている。

 この日の最速はソフトバンク阪神のスピードガンによると142キロ。最速146キロには及ばないものの、キレのある真っすぐ、勝負球として使うタテのスライダーにはキレがあった。

 就任3年目の土屋監督にとって、夏のシード権獲得は初。昨秋は県大会8強と、一歩一歩、ステップアップしている。

 本田の入学時は身長177センチ、体重55キロで、現在は181センチ、75キロと大きく成長。体が大きくなるのと比例して、125キロだった球速は20キロ以上アップした。

 試合後には多くの報道陣に囲まれ、注目度は増すばかりだが「その自覚はあります。うれしくて、頑張れる」と、むしろプラスにとらえている。

 好きな投手は前田健太(ドジャース)で、動画などでのフォーム研究も欠かさない。卒業後の希望進路も明確で「プロへ行って活躍したい」と目を輝かせる。

 次戦は4回戦だが、土屋監督は「もう一つ二つ、上まで行きたい」と貪欲に語る。「神奈川No.1投手」と言われる本田が、さらなる真価を見せつけるのはこれからだ。

文=岡本朋祐 写真=菅原 淳


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