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桐光学園高(神奈川)に“松井二世”冨田冬馬が衝撃デビュー

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松井と似たフォームから力強い球を投じる冨田



 8強(夏の県大会第2シード)をかけた一戦で桐光学園高・野呂雅之監督は1年生を先発に指名した。

 4月23日、左腕・冨田冬馬(とうま)が弥栄高との春季神奈川県大会準々決勝で先発し、4回を4安打無失点に抑え、チームの7回コールド勝利(8対0)に大きく貢献した。

 橘中時代は横浜緑ボーイズに在籍し、全国大会、ジャイアンツカップ出場の実績を誇る。

 2012年夏の甲子園で大会最多記録を更新する22奪三振(対今治西高)をマークした松井裕樹(現楽天)の投球にあこがれ、桐光学園高への進学を決めたという。

 グラブを持つ右手の使い方、胸の張りも松井とそっくりだ。入学直後からフォームを参考にし、公式戦初登板の快投につなげた。また、鋭くタテ変化する宝刀・スライダーも先輩譲り。最速は中学3年時に計測した135㌔だが「3年夏までには、150㌔を出したい」と目を輝かせる。

 前日の練習試合で1イニングを投げ、この日を迎えた。野呂監督は「ブルペンできちっと確認してからゲーム形式、という形にはしていない。実戦形式でしか調整させていない」と、ベテラン指揮官独自の調整法で準備させた。その理由を聞けば「動いている姿。会話。長年やっているとあるんですよ」と、監督にしか分からない感覚、冨田のセンスを感じたのだという。

 4イニング、35球のうち、8割以上がストライクだった。「ヒットを打たれた直後の初球に注目していたんですが、ほとんどストライクだった。(起用する側としては)公式戦でストライクが入るのが大前提。上出来です。資質がある」。野呂監督はご満悦だった。

「フォーム的には似ている。エンジンは(松井よりも)小さいが、良い意味でまとまりがある」(野呂監督)

 松井には〝良い意味〟で暴れるボールがあったが、冨田には抜群の制球力と、マウンド上での落ち着きが感じられる。横浜高には「世代No.1」と言われる左腕・及川雅貴が入学したが「意識はない」と淡々。

 桐光学園高は松井が2年生だった12年夏以来、甲子園から遠ざかる。独特のムードを醸し出す冨田が今夏に〝スーパー1年生〟として騒がれかもしれない。

文=岡本朋祐 写真=BBM

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