
長いトンネルを抜けた初安打がホームランだった
プロ野球の歴史の中で、日付にこだわって「その日に何があったのか」紹介していく。今回は4月26日だ。
2017年は
巨人・
王貞治が、ハンク・アーロンが持っていた755本塁打の世界記録を抜いてから40年の節目となる。そして4月26日は、記念すべき第1号を放った日だ。
早実時代は投手としても鳴らし、2年センバツで全国制覇も果たした王だったが、59年巨人入団後は、すぐ一塁手に転向した。
当時の
水原茂(当時は円裕)監督は、王を“使いながら育てる”方針で開幕から一塁スタメンで起用したが、とにかく打てず、当初の大歓声はいつしか「オー、オー、三振王」のヤジに変わっていった。
迎えた4月26日の国鉄戦ダブルヘッダー第2試合(後楽園)。開幕から13試合目(王は2試合欠場)だった。この日も王は1、2打席と凡退。水原監督は、一度は代打とも思ったというが、思い直し、0対0の7回二死一塁の場面で、「最後のチャンス」とばかり王を送り出す。
マウンドには右腕エースの
村田元一。1ボール2ストライクからの4球目のカーブだった。王が強振すると、打球はライトスタンドへ飛び込む。27打席目のプロ初安打が初ホームランとなった。
「まるで雲の上を走っているようでした」と王。これが決勝点になり、巨人は2対1で勝利している。
なお、王はこれで打撃開眼とはいかず、同年は94試合で打率.161、7本塁打に終わっている。“一本足打法”とめぐり合い、“ホームランモンスター”とも言われる時代は、まだ少し先のことになる。
写真=BBM