
1年目から先発ローテの一角を担う濱口遥大
週刊ベースボール5月22日号のルーキー特集(5月10日発売 ※一部地域を除く)のインタビューを行ったのは、
巨人戦(5月2日、東京ドーム)の初黒星から3日後の練習前だった。濱口遥大投手は、記者が沖縄・宜野湾キャンプで1日密着取材したことを覚えており、笑顔で迎えてくれた。
先発2試合目となった4月9日の
中日戦(ナゴヤドーム)で早くもプロ初勝利を飾った。キャンプで「真っすぐの質を高めたい」とこだわっていた最速151キロを誇るストレートが屋台骨となり、ピッチングを支えている。開幕から5試合に先発し、2勝1敗、防御率2.17と予想以上の活躍で、先発ローテの仕事を十分にこなしている。
「これほど投げられるとは、自分でも予想していなかったです」
そうインタビューで語った言葉には、偽らざる気持ちが表れていた。昨秋のドラフトで
DeNAは、
柳裕也(中日)と
佐々木千隼(
ロッテ)を1巡目入札1回、2回目の抽選で外し、“外れ・外れ1位”で地元・神奈川大の濱口をドラフト1位で指名。入団後の評価は、ほかのドラフト1指名選手の中で高くはなかった。だからこそ、現状に満足することなく貪欲にレベルアップを目指す。
「いま抑えることができているのも初対戦の球団だからです。2回り目の対戦でどれだけ自分のピッチングができるか。高いところを目指していきたい」
インタビュー中に何度も口にしたのが「腕を振る」というフレーズだった。プロに来て手応えをつかんだ真っすぐも、決め球のチェンジアップも左腕を思い切って振り抜かないと、いいボールはいかない。そしてピンチでも弱気にならず、全力で「腕を振り」打者に向かっていく。この2つの意味を込め、濱口は自身の信条について語ってくれた。
いずれ直面するであろう“プロのカベ”を前に、ドラフト1位左腕がどんなピッチングを見せるのか、注視していきたい。
文=滝川和臣 写真=大賀章好