
5月1日の17号は劇的なサヨナラ本塁打だった(対広島。東京ドーム)
プロ野球の歴史の中で、日付にこだわって「その日に何があったのか」紹介していく。今回は5月12日だ。
5月10日の
阪神戦(東京ドーム)で今季6号を放ち、通算2000安打へも着々と近づく
巨人・
阿部慎之助。2004年5月12日は阪神戦(東京ドーム)で阿部が開幕から33試合目で20本塁打を放った日だ。これは01年の
西武・
カブレラを抜き、日本最速。当時はMLBにも勝る世界最速ペースと騒がれ、「このままなら90本」という新聞記事もあった。
開幕は4月2日だったが、阿部は7試合目に1号を放つと、そのまま日本記録の7試合に迫る6試合連続本塁打、月間16本の日本最多タイ記録(当時)も達成している。
阿部は当時プロ4年目、2年目の18本塁打が最多だから、この年のペースはすさまじい。まさに神がかり状態だった。ただ、当時の阿部にホームランの質問をしても「気にしていない」「無心で打っているだけ」と、そっけない答えが多かった。
これは謙遜というより“バッティングより、早く捕手として一人前として認められたい”という思いではなかっただろうか。当時からバッティングセンスは「
松井秀喜(巨人ほか)以上かも」と言われながら、守備面では酷評されることが多かった。結局、6月以降伸び悩み、シーズンでは33本。それもメンタル面からと言ったら深読みしすぎか。
現状でも打者として素晴らしい記録を残している阿部。ただ、早くから一塁手に転向し、バットで勝負していたらどんな結果を残していたのかという思いは、いまもある。
写真=内田孝治