試合も5対1で勝利。歓声にこたえる阿部
開幕から好調を維持する38歳、プロ17年目の
巨人・
阿部慎之助が、5月16日の
ヤクルト戦(東京ドーム)で今季8号の先制2ランを放ち、通算本塁打を381本とした。これは
大島康徳(
中日─
日本ハム)、
原辰徳(巨人)の382本に次ぐ史上22位の数字だ。
巨人栄光の歴史の中でもさん然と輝くV9時代を支えた
王貞治、
長嶋茂雄のいわゆるON砲。本塁打数も王が史上最多868本、長嶋が14位の444本をマークしている。
原は巨人ではONに次ぐ3位。王が現役を去り、長嶋が1期目の監督を去った後、1981年に入団した原は、その後、四番に定着するも、常にONと比較され続け、2人の存在が大き過ぎるがゆえに、批判され、悔しい思いをした時期もあった。
阿部が、その原のホームラン数をついに抜きそうだ。1979年生まれ、2001年巨人入団の阿部には、もちろん現役時代のONのイメージはないだろうが、古くからの巨人ファンにとっては、感慨深いものがあるはずだ。
王の868号はさすがに雲の上の数字だが、長嶋まではあと63本となった。長嶋はいまの阿部と同じ38歳、プロ17年目を最後にバットを置いたが、ラストイヤーは15本塁打と明らかに力は落ちていた。対して今季の阿部は33試合で8本塁打。バットマンとして円熟期にあると言っていいだろう。故障さえなければ、来年、阿部がONに割って入る可能性も十分にある。巨人のオールドファンは、それを喜びながらも、複雑な心境になるかもしれないが……。
写真=小山真司