
完全試合を決め、大きくジャンプする槙原
プロ野球の歴史の中で、日付にこだわって「その日に何があったのか」紹介していく。今回は5月18日だ。
巨人の絶対的エース・
菅野智之が5月16日の
ヤクルト戦(東京ドーム)で5勝目。本拠地ながらグレーのビジタータイプのユニフォームを着用していたのも新鮮だった。
試合時間はセの今季最短2時間16分。三振にこだわらず、打たせて取っての快勝だった。
1994年5月18日、同じく巨人の大型右腕で、2時間14分で勝利を、しかも完全試合でつかんだ男がいる。福岡ドーム(現ヤフオクドーム)での巨人主催試合、
広島戦で先発マウンドに立った
槙原寛己である。
ブルペンでの調子は良くなかったというが、「思ったより球が行ってなかったんで、慎重にと思ったのも良かった」と槙原。徐々にエンジンがかかり、3回を投げ終えたときすでに「完全試合」の意識はあったという。8回終了時には捕手の
村田真一に「男ならやってみんか!」と声を掛けられたが、もとよりそのつもりだった。
「最後のほうは、ベンチでもどうやってガッツポーズしようか考えていましたから。三振ならグラブを投げようかとかね」
ただ、いざとなると頭が真っ白になった。最後の打球は一塁へのファウルフライ。自然にバンザイしてジャンプしていた。この年はFAしての宣言残留。チームもあの「10.8」で優勝し、日本シリーズでは
西武を破って日本一。2勝を挙げた槙原は日本シリーズのMVPにもなっている。
完全試合は以後、20年以上達成者がおらず、解説者となった槙原氏は、いまも“ミスター・パーフェクト”と呼ばれ続けている。
写真=BBM