
3月末、インタビューに答えた熊原。今シーズン初登板が近づいている
開幕から間もなく2カ月。154㌔右腕にようやくチャンスがめぐってきそうだ。「週刊ベースボール」が
DeNAの
熊原健人にインタビューを行ったのは、3月末のシーズン開幕のタイミングだった。オープン戦で打ち込まれ、先発ローテ入りを期待されながら2年目の開幕を二軍で迎えていた。
横須賀・ベイスターズ球場での練習終わり、青星寮で取材に応じてくれた熊原は、「ペナントでは先発ローテの投手が調子を崩すこともあります。そんなときに、僕が真っ先に名前を呼ばれるようならないと」と背筋を伸ばして語ってくれた。
2016年ドラフト2位で入団した昨年、中継ぎで結果を残すと先発に配置転換。2度目の先発となった7月にプロ初勝利を飾った。トレードマークともいえるダイナミックなフォームは粗削りながら可能性に満ちていた。しかし、制球力を重視するあまり徐々に、持ち前の“荒々しさ”が消え、球威が失われていった。
今シーズン、二軍でその課題と向き合った。「ファームの試合でアピールしなければ……」。焦りがないといえば嘘になるが、熊原は腰を落ち着けてチャンスを待った。
5月7日のイースタン・
楽天戦(横須賀)は9回3失点(負け投手)、17日のイースタン・
日本ハム戦(横須賀)では7回無失点(勝ち投手)と好投。ファームでは4試合に登板して2勝2敗、防御率1.08の安定した数字で5月22日に一軍合流となった。
現時点では登録を抹消された
平良拳太郎の枠に収まることが濃厚で、おそらく5月24日の
中日戦(横浜)で先発すると見られている。開幕投手を務めた
石田健大はケガで離脱、2ケタ勝利が期待される
井納翔一、
今永昇太はともにまだ1勝。熊原の今シーズン初先発が、投手陣へのカンフル剤となるか。
文=滝川和臣 写真=矢野寿明