
驚異の打率と出塁率の高さで日本ハム打線を牽引する近藤健介。交流戦でもそのバットが火を噴くか!?
ついにあのレジェンドに並んだ。
シーズン開幕から打撃絶好調の日本ハム・近藤健介。「三番・DH」で出場した5月31日の
DeNA戦(札幌ドーム)でも1安打2四球で打率は依然として.407。出場46試合目の大台キープでOBの
張本勲が持つ球団記録タイ(1973年)となった。
入団6年目の23歳。打撃覚醒の秘密はどこにあるのか? それが知りたくてこの日の練習前に近藤に独占インタビューを行った。それは週刊ベースボール6月19日号(6月7日発売)で余すところなく明かしたいと思うが、ここで「ちょい出し」でその一端について書いてみたい。
今回のインタビューで近藤が何度も口にしたキーワードが「結局バッティングってタイミングがすべてだと思っているんです」という言葉だ。
もちろん配球の読み、ボールを捉える高い技術、相手投手のボールに負けないパワーも必要だが、それよりも大切なのはタイミングと力説してくれた。自分の「間」でいかに相手のボールとコンタクトできるか──。常にそのことを考えながら、打席に立っているという。仮にタイミングが少しでも合わなければ、時には思いきって「捨てる勇気」も必要であり、それが今シーズンはできているという。
現にこの日の試合でも割と甘いコースのボールを微動だにせずに見逃した後、小さくうなずく近藤の姿があった。相手バッテリーにして見れば、ストライクは取れてもどこか不気味であり、次の配球に頭を悩ませたに違いない。それを物語るように、この打席では最終的に四球を選んだ近藤。その伏線となっていたのは紛れもなく、その前のボールの見逃し方を含めた近藤の打席で醸し出す余裕と間が、ピッチャーに“ボール球を投げさせた”と言ってもいい。
プロ入団時からそのバッティングセンスは天才と評されてきた近藤。もしこのままNPB初の打率4割達成となれば、今回話してくれた打撃理論は球界の新たなスタンダードになるかもしれない。そんなことにも思いを馳せながら、背番号8のバッティングにこれからも注視していきたい。
文=松井進作 写真=桜井ひとし