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中日・荒木雅博の胸に残る“神様”と“武士”との思い出

 

2007年9月1日の中日戦(広島市民)で2000安打を達成した荒木の高校の先輩、広島・前田智徳


 ついに金字塔が目前だ。中日の野手最年長で、プロ22年目の荒木雅博が通算2000安打を達成しようとしている。

 昨季までに積み重ねた安打は1961。残り39安打として開幕を迎えたが、出だしは苦しんだ。開幕5試合を終えた時点で17打数1安打、打率.059。「正直、ちょっと焦りはある」と本音を吐露することもあった。だが、プレッシャーをはね返して徐々に復調。序盤に苦しんだ分だけ、喜びもひとしおだろう。

 ベストナイン3回、ゴールデン・グラブ6回、盗塁王1回。5度のリーグ優勝と1度の日本一を経験。華々しい経歴を誇るが、それでも「どこまで成績を伸ばしてもやっぱり雲の上」と敬意を払う存在がいる。それは�狢之發凌斥有�川上哲治(元巨人)と、前田智徳(広島)だ。2人はともに、荒木と同じ熊本工高を卒業して2000安打を成し遂げた偉大な大先輩。両者との思い出は、荒木の記憶の中に大切に刻まれている。

「プロ野球選手になって最も感動したことがあるんですよ。プロに入り、レギュラーを取ったくらいのときに、川上さんから『よくなったな、お前』と声をかけていただいたんです。僕のことを昔から見ていてくれたみたいで。あれはうれしかった。あの川上哲治さんですからね。前田さんは自分というものをしっかり持っている方で、外から見ているだけでもすごく勉強させてもらいました。いつのことだったか忘れてしまったのですが、それまでは『ああ』と短くあいさつする程度だったのですが、『おー』と話をさせてもらえるようになったことが印象に残っています。僕にとっての前田さんは�猊雹劉瓩箸いΕぅ瓠璽検�あの人のようになりたいと思っているんです」

 その背中にあこがれ、追いかけた末につかもうとしている通算2000安打の勲章。だが、物語はまだ終わりではない。ひたすらに走ってきた荒木を見つめてきた者もまた、存在する。

「先輩が大きな数字に近づいていっている。僕もそこに近づきたい」

 そう口にするのはチームメートの大島洋平。自身は4月30日に通算1000安打を達成。さらなる大記録を達成した荒木の存在は、大きな刺激となっているはずだ。

 恐らく荒木は謙そんするに違いない。だが、ほかの選手にとっては荒木も偉大な先輩であることは、疑いようのない事実である。
文=吉見淳司 写真=BBM
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