
記録達成の試合後、ナインと缶ビールで乾杯した福本
プロ野球の歴史の中で、日付にこだわって「その日に何があったのか」紹介していく。今回は6月3日だ。
6月1日現在、盗塁はセ・リーグが
広島・
田中広輔の11、パ・リーグが
西武の新人・
源田壮亮の14がトップだ。50試合前後での結果ながら、おそらく阪急・
福本豊が1972年に打ち立てた日本記録106盗塁を抜く可能性はまずない。90年代以降、盗塁は減少傾向にあり、福本の記録は、もはや不滅の大記録と言っていいだろう。
1983年6月3日は、福本が西武戦(西武)で通算939盗塁を決め、ルー・ブロック(カージナルスほか)の世界記録938個(当時)を更新した日だ。937個でこの日を迎えた福本は、1回表四球で出塁すると二盗、あっさりタイ記録を決めた。
その後、試合は乱打戦となり9回表、福本の打席を迎えたところで6対11と西武が大量リード。出塁はしたが、「どうせなら勝ちゲームで決めたい」と盗塁は封印しようと思った。その後、次打者の二ゴロで二塁へ進むと、福本の気持ちは完全に固まった。「三盗は二盗より簡単。三盗で世界記録を更新したくない」と思ったからだ。
しかし、「今日は走らん」と声をかけたにもかかわらず、ショートの
石毛宏典が盛んにけん制で二塁に入ってくる。イライラして「つい走ってしまって」(福本)世界新記録達成。のち「やっぱり走らんほうがよかったわ」と振り返っている。
写真=BBM