
6月13日のヤクルト戦(神宮)、初回に適時三塁打を放ち見方ベンチへ「バーン」で喜びを表した松井
「年がいもなく、ハッスルボーイで頑張りました」とおどけた表情を見せた。
6月13日のヤクルト戦(神宮)、3安打5打点で12対3の大勝に貢献した
楽天・
松井稼頭央。猛打賞も通算178度目となり、
福本豊(阪急)に並ぶ歴代5タイとなった。見た目は若々しいが、プロ24年目の41歳と大ベテランの域に達し、さすがに常時スタメンとはいかない。それでもチャンスを得ればしっかりと仕事を果たし、途中出場でも生き生きとプレーする姿はチームに有形無形の好影響を与えているだろう。
「好きな野球でもっとうまくなりたいし、もっと打てるようになりたい」
野球に対する純な気持ち。常にそれが根底にあったのは間違いない。
「1年間、やり通す目標を立て、自分の信念を曲げずやり遂げたときに新たなことが見つかる。そして、また翌年は新たな目標に突き進むことの繰り返しです」とかつて語っていた。
2002年に打率.332、36本塁打、33盗塁とトリプルスリーをマーク。大記録を達成したこのシーズンは、感覚がおかしくなっても打席ごとに修正することができていた。
しかし、そこに留まることをよしとしない。
「それが1打席の中で修正できるようになれば、もっといい成績を残せるはず。究極は1球1球で変えていくこと。それができればすごいことでしょう」
もっとうまくなりたい、もっと打てるようになりたい――。
野球に対する純な気持ちは果てしなかった。
2004年にメジャー・リーグへ移籍。野球の本場で7年間過ごしたのち、11年に楽天へ。クリムゾンレッド色のユニフォームを着て7年目を迎えたが、その間、野球小僧の精神は失わないでいるのだろう。それはプレーしている姿を見ているとよく分かる。
「ある意味、小さいころからの気持ちを持ち続けている野球小僧です」
この言葉もよく耳にした。
「現役選手として、やれるのであれば50、60歳とやりたい。やっぱり僕には野球しかないと思っているし、もっともっと練習してうまくならないと。野球選手として、本当に欲は限りないと思います」。永遠の野球小僧が歩む道に終わりはない。
文=小林光男 写真=内田孝治