ロイヤルボックスから手を振る昭和天皇
プロ野球の歴史の中で、日付にこだわって「その日に何があったのか」紹介していく。今回は6月25日だ。
この日、プロ野球の歴史にとって忘れ得ぬ試合があった。1959年6月25日、プロ野球史上唯一の“天覧試合”だ。
昭和天皇、皇后両陛下を迎えて行われた
巨人―
阪神戦(後楽園)。試合は序盤、巨人・
藤田元司、阪神・
小山正明両エースの投手戦となったが、中盤からは一転、ホームランが飛び交う。
まず、0対1とリードされて迎えた5回裏、巨人が
長嶋茂雄、
坂崎一彦の連続本塁打で2点を奪い逆転すれば、6回表、阪神も
三宅秀史のタイムリーと
藤本勝巳の2ランで逆転し、2点リード。それでも巨人は7回裏に新人・
王貞治が2ラン本塁打を放って同点に追いついた。
ここで阪神は小山をあきらめ、新人・
村山実を投入。以後を抑え、4対4のまま迎えた9回裏、巨人の攻撃だった。先頭打者の長嶋が左翼ポール際にサヨナラ本塁打を放ち、巨人の勝利。村山は98年に亡くなるまで「あれは絶対ファウルや」と言い続けた。王と長嶋が1試合でともに本塁打を放ったのは初めてで、通算106度を数えた“ONアベック本塁打”の第1号でもある。
まだまだ、一般には“興行的”扱いをされていたプロ野球が市民権を得て、国民的スポーツに発展するターニングポイントとなった試合でもあった。
写真=BBM