
ホームランを打ち、ベンチでチームメートに祝福されるウィーラー
6月28日(水)発売の週刊ベースボールは
楽天特集。球団担当として選手たちからたくさんの話を聞いた。そして、熱烈な楽天ファンであるタレントのかみじょうたけしさんにも登場してもらった。
そのインタビュー中に私が「そのとおり!」と思わずヒザを打ちたくなったのが、かみじょうさんが編み出した「Dパワー」という言葉。「誰かのためになんとかしてあげたい」の頭文字を取ったそうだ。それは、試合中に球団から配信される選手のコメントからも読み取ることができる。特にウィーラー選手の場合がそうだ。その一部を抜粋してみたい。
「早い段階で点数を取りたいと思っていたときに一発が出てよかったよ。辛島(航)、チームの勝利のために次も打つよ」(5月23日の
オリックス戦の1回、先制のソロ本塁打を放って)
「相手は好投手の菅野(智之)だけど、みんなが粘って球数を投げさせたからね。自分1人ではなく、チームで打った一発だよ。この一発でチームに勢いがついてくれるといいね」(5月30日の
巨人戦、1回裏に先制2ランを放って)
「相手のミスもあって、チャンスだったから食らいついていったよ。塩見(貴洋)のために打つことができてよかったよ」(5月31日の巨人戦、3回裏に先制の右前適時打を放って)
「今日は安楽(智大)が今シーズン初登板だからね。まだ2点差だし、何とかしたかったんだ。とにかくランナーをかえせてよかったよ」(6月14日の
ヤクルト戦、0対2でリードされた5回に左中間へ適時二塁打を放って)
お分かりだろうか。殊勲一打を放ったウィーラー選手は、どんなときでも自分の感情を優先することなく、「誰かのために」と「誰かのおかげで」を口にするのだ。かみじょうさんは被災地である東北ならではの感情だと解説してくれたが、それを実践しているのがアメリカ人のウィーラー選手というのが興味深い。発売前にここでネタばらしをしては意味がない。本を手に取り、ウィーラー選手や楽天選手の魅力を感じてもらえればと思う。
文=富田 庸 写真=大賀章好