
7月5日の阪神戦では8回に石川が犠牲バントでチャンスを広げ、貴重な追加点につなげた
2位阪神と2ゲーム差。今季初めて貯金生活に入った
DeNAは7月2日の
巨人戦(東京ドーム)から打線を組み替えた。開幕以来、二番に置いていた
梶谷隆幸を七番(もしくは六番)に下げ、
石川雄洋を二番に起用する。
ラミレス監督は就任1年目の昨季から一番・桑原に続く「超攻撃型・二番」として梶谷をクリーンアップの前に起用して上位打線に厚みを持たせてきた。それをオールスターを前にしたこのタイミングでの方針変更。狙いはどこにあるのか。
「これからの試合はスモールベースボールを進めていきたい。二番にバントの得意な石川を置く。梶谷は七番で自由に打たせるつもりだ」と指揮官は意図を説明する。
7月6日時点でチーム犠打数は12球団最少の35。強力打線で打ち勝つイメージの
広島でさえ63の犠打を数え、2位の阪神は59。この数字からもDeNA打線の特徴が分かるだろう。シーズン後半、大事な試合での取りこぼしは、絶対に避けなければならない。Aクラスをがっちり固めて、阪神との2位争い、そして首位の広島を追撃するために、ラミレス監督は犠打でチャンスメークしたうえで好調クリーンアップにつなぎ、確実に1点を取りにいく攻撃スタイルへと転換を図る。
5日の阪神戦は二番・石川が3打数2安打1四球1犠打と“つなぎ役”として機能した。5回には左翼スタンドへ2号ソロを叩きこみ、期待以上の役割を果たした。一方、七番に入った梶谷も指揮官の狙いに応えるように、2安打2打点と打線の組み換えが好循環を生んでいる。
また、石川以外にも“つなぎ役”の二番に徹することができるのが現役最多294犠打の記録を持つ
田中浩康だ。CS進出をかけた上位争いはこれからますますヒートアップする。そんななか、石川、田中のベテラン2人の存在価値が増していく。
文=滝川和臣 写真=井田新輔