
7月17日のヤクルト戦で、今季6勝目を飾った今永
2015年秋、東都大学リーグ戦の一部二部入れ替え戦は、一部6位の駒大と二部優勝の東洋大の意地と意地がぶつかり合った。すでにドラフト1位でのプロ入りが決まっていた駒大・
今永昇太(現
DeNA)、東洋大・
原樹理(現ヤクルト)という両エースが壮絶な投げ合いを演じた。
●一部二部入れ替え戦結果
11/7 駒大 1-0 東洋大
11/9 東洋大8-4 駒大
11/10 駒大 1-11 東洋大
主将の原は3戦すべてに登板し、3回戦では完投でチームを一部昇格に導く。一方、今永は1回戦で完封するも、3回戦は打ち込まれ9失点6回途中でマウンド降り、駒大の11季ぶりの二部降格が決まった。「相手に修正されて、それを上回ることができなかった」と大学最後の登板を終えた今永は唇をかんだ。
そんなホロ苦い記憶を払拭する機会が訪れた。プロ入り後は、互いに連絡を取り合う仲だという原との初対決が7月17日のヤクルト戦(横浜)で実現したのだった。
初回こそ安打と四球でピンチを招いた今永だったが、序盤から腕がよく振れていた。2回以降は毎回奪三振でヤクルト打線に隙を与えなかった。7回にこの試合3本目となる安打を五番・
坂口智隆に許し、続く六番・
中村悠平に四球を出したところで降板となったが、6回1/3を無失点の好投だった。
原もスムーズな立ち上がりを見せるたが、3回に四番・
筒香嘉智に適時打を浴び先制を許すと、6回には再び筒香に右越えソロ本塁打を浴び、6回2失点で降板。同級生対決は6勝目を飾った今永に軍配が上がった。
「イニングを追う毎に調子が良くなっていきました。緩急もうまく使えたために、ストレートも力強さを増して、効果的でした」と今永は試合を振り返る。
シーズン開幕直後はなかなか勝ち星に恵まれなった背番号「21」だが、ここ5試合で3勝とようやく本来の力を発揮し始めた。Aクラス死守、上位進出のかかる勝負の後半戦。2年目左腕の目は真っすぐ上を見据えている。
「去年のこの時期はまだ二軍で調整していました。今年は一軍で先発ローテを守れている。後半戦もローテにいられることが大前提ですが、そのなかで規定投球回数、2ケタ勝利を達成できればと思っています。チームも良い位置につけているし、優勝だってまだまだ狙えます。その一つの歯車になれるよう腕を振っていきたい」
文=滝川和臣 写真=大泉謙也