
今季限りでの引退を表明している井口(現ロッテ)。当時は右方向への長打も魅力。同年は30本塁打、44盗塁をマークしている
プロ野球の歴史の中から、日付にこだわって「その日に何があったのか」紹介していく。今回は8月15日だ。
楽天、
ソフトバンク、さらには
西武が加わり、混戦の気配も漂い始めたパ・リーグだが、過去の類似した大混戦と言えば、現楽天監督・
梨田昌孝監督率いる近鉄が前年の最下位からの優勝を飾った2001年も印象深い。
このときは1999、00年と連覇を果たし、“ダイハード打線”と呼ばれる強力打線が看板だったダイエー(現ソフトバンク)が優勝候補の筆頭だったが、序盤の出遅れもあって、夏場には近鉄、西武、さらに
オリックスも絡む4強の争いとなった。
01年8月15日は、もしダイエーがリーグ3連覇を達成していれば、大きなポイントとして語られる試合になったはずだ。
ダイエーは2位で、福岡ドームに3位・西武を迎えての一戦だった。8回まで2対0とリードしたダイエーだったが、9回表に2点を取られ、同点。そのまま延長となり、10回裏、西武のマウンドには9回途中から登板し、ここまで5勝22セーブの守護神・
豊田清がイニングまたぎで上がった。
勝負は一瞬で決まった。先頭打者として打席に入った三番の
井口忠仁(現・井口資仁)が初球を右中間に劇的なサヨナラ本塁打。「3球全部振るつもりだった」と井口。思い切りのよさに加え、カーブを引っかけず、うまく右方向に運んだ技も光った。
この日、首位・近鉄が
日本ハムに逆転負けし、ダイエーは18日ぶりの首位に返り咲き、その後、17日からの近鉄との首位攻防戦(福岡ドーム)でも2勝1敗。井口は18日の試合でも3打点を挙げ、勝利に貢献している。この時点では、鷹は間違いなくVコースを飛んでいた。
しかし9月に失速。首位に立った近鉄は、9月は主に西武と競り合い、最終的には1位・近鉄、2位・ダイエー、3位・西武となった。
当時の近鉄と同じ指揮官が率いる楽天とソフトバンク、さらに西武の3強が見せる熾烈な優勝争い。同じような顔ぶれがそろった今年のパの終盤戦は、どうなるのだろうか。
写真=BBM