現地時間9月1日から始まる「第28回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」。清宮幸太郎を主将とした“高校生ジャパン”がカナダで世界を相手に奮闘を繰り広げる。悲願の世界一へ――。若きサムライたちの戦いを追う。 奪三振能力が高い田浦

田浦(右)の良さを引き出した古賀の好リードも光った
アジア選手権(台湾・台中)を制した昨年の投手起用を思い出した。
小枝守監督は、困ったら
広島新庄の
堀瑞輝(現
日本ハム)を惜しみなくつぎ込んだ。その期待にサウスポーはこたえ続け、ロングリリーフも喜んで受け入れた。指揮官は全幅の信頼を置く投手に対しては、とことんこだわる。落とせない試合であればなお、それに拍車がかかる。
2016年の“ターゲット”が堀なら、17年は
田浦文丸(秀岳館)で決まった気がする。
9月2日(日本時間3日)のアメリカ戦。田浦は0対4とされた6回二死一、二塁から救援すると三番打者を見逃し三振に斬って取った。8回まで投げて、打者8人から5奪三振。右打者へは外へ逃げるチェンジアップ、左打者にはスライダーが効果的だった。
「自分の思う投球ができた。自信がついた」
翌3日(日本時間4日)のキューバ戦では6回一死一、二塁で救援。4対2と日本がリードしていたが、一本が出れば展開も分からなくなる状況である。右打者を内角ストレートで見逃し三振に斬ると、続く左打者は得意のスライダーで空振り三振。反撃ムードだったキューバ打線の流れを完全に断ち切り、6、8回の追加点につなげ、チームは7対2と快勝した。田浦は8回まで投げ、打者11人から5奪三振と球がキレていた。
小枝監督は絶賛した。
「田浦が自分のペースを崩さずに投げてくれた」
170センチの小さなサウスポーが初の世界一を目指す侍ジャパンU-18日本代表投手陣のキーマンパーソンになりそうな予感がする。
<次回に続く>
文=岡本朋祐 写真=早浪章弘