
21連勝の記念ボードを掲げる田中
プロ野球の歴史の中から、日付にこだわって「その日に何があったのか」紹介していく。今回は9月13日だ。
今季は急失速で
ソフトバンクに大差をつけられた
楽天だが、2013年の初優勝時、9月13日に大きなポイントとなったゲームがあった。
2位・
ロッテとのゲーム差を7に広げて本拠地・Kスタ宮城に戻った首位・楽天。9月13日の
オリックス戦では、
田中将大が2失点(自責1)完投勝利で、またまた金字塔を打ち立てた。
稲尾和久氏(元西鉄)のシーズン連勝記録を抜く21連勝に加え、昨季から続く連勝を25とし、36~37年のカール・ハッベル(ジャイアンツ)を抜く世界新記録を樹立した。
楽天・
星野仙一監督は「すごいな、ホンマに。それしか言いようがないよ。聞くなよ、そんなこと、もう(笑)」と称賛の言葉も尽きた様子だったが、田中が勝ち続ける要因について「もうちょっと(味方が得点するまで)我慢してくれ、というところまで我慢してくれるから(味方が)点を取ってくれる」とその粘り強さを挙げた。その言葉どおり、この日は5回までに5安打を許しながら無失点で切り抜け、中盤以降の得点に結びつけた。
連勝記録について田中自身は「ピンときてないです。数字は後からついてくるものなので、そこで僕がブレてしまってはダメ」と眼中になし。投球内容についても「完封しないとダメだったと思う。すごく悔しい」と笑顔を見せることなく振り返ったが、9回を投げ切ったことについては「連戦が続くので、僕がしっかりと投げればリリーフの方々も休めると思った。休養日になって良かったです」と納得の表情。最後に「記録を伸ばすためにやっているわけじゃない。日本一を目指してやっている」と語った。
そのブレない投球に「もう負けずに終わってしまうから、今シーズン」と太鼓判を押した指揮官。マジックについては、それまで「壊れた蛍光灯」と繰り返してきたが、12となったナンバーに「アイリスオーヤマのLEDに変えてから、うまくいってるね」。独特の言い回しで、チーム状態の良さと、ゴールまでの距離が近いことを示した。
その後も田中は連勝を続け、10月8日のオリックス戦(Kスタ宮城)でシーズン24連勝、連続シーズン28連勝として閉幕。チームも優勝、さらに日本一となった。ただ、翌年、24勝無敗の田中がヤンキースに移籍したこともあり、82勝が64勝になり、楽天は最下位となっている。
写真=高塩隆