
その存在感をさらに高め続けているサファテ
2年ぶりのパ・リーグ制覇へ向け着々と、猛烈なスピードでマジックを減らしている
ソフトバンク。編集部でも優勝記念号や優勝特集の準備に追われているわけだが、その中で2人のホークスOBである解説者に今季のソフトバンク投手陣を振り返ってもらったとき、声をそろえたのが“サファテのすさまじさ”についてだった。
「その存在の大きさは計り知れない。イニング数と試合数が同じということはセーブの確率がきわめて高く、登板がほとんど勝利に直結しているということ」と話すのは1991年から4年間ダイエー(現ソフトバンク)に所属し、ストッパーも務めた
池田親興氏だ。
あらためて9月12日時点のサファテの成績を記すと、61試合61イニング、2勝2敗50セーブ、防御率0.89、97奪三振、与四球10、奪三振率14.31、被打率.153……とてつもない数字が並ぶ。日本記録の46セーブを更新し、前人未到の50セーブへ到達したサファテだが、その投球内容も超高精度だ。
同じくホークス黄金期のエースだった
斉藤和巳氏は、「僕の中でシーズンMVPはサファテ以外に考えられない。36歳を迎えて、年々成績を上げているのは驚異的。選手層が厚いチームの中で唯一、代えが利かない存在」と語る。
サファテがいるだけで、リードした終盤や延長になったときに相手に与えるプレッシャーは絶大。また、サファテを最後の砦とする強固の中継ぎ陣がいることで、先発陣はあとのことを考えることなく能力をフルに発揮することができる。さらに、後ろから逆算の早めの継投を仕掛けることで、接戦にも強さを発揮する――。両者が語る“サファテがチームにもたらす効能”は枚挙にいとまがない。
そんなサファテが喫した2つの黒星のうち、1つは8月1日の京セラドーム、
オリックス戦でのものだ。3連投となった守護神は延長12回、
ロメロにサヨナラ弾を浴びた。試合後、「中継ぎ陣はみんな疲れている。先発陣は何かを感じてほしい」と訴えた。
池田氏は「サファテの発言は自分自身のことではなく、中継ぎ陣の頑張りについてのもの。事実、彼自身が誰よりも登板している(チーム2位)わけだから」とその献身性を認め、斉藤氏は「取り方によっては批判と受け取られるかもしれない。でも、それからも投手陣の関係性は変わらなかった。誰もがサファテを認めているし、人柄も含めて普段から関係を築いている証拠」と投手陣への影響力を口にした。
リーグ優勝、その先のポストシーズン――。ソフトバンクが迎える歓喜の瞬間は、鷹の守護神とともに訪れるはずだ。
文=杉浦多夢 写真=湯浅芳昭