今年は10月26日に行われるドラフト会議。毎年、金の卵たちが、どの球団へ進むか大きな注目を集める“一大イベント”で、さまざまなドラマも生まれる。今年で53年目を迎えるドラフト会議の歴史を週刊ベースボールONLINEでは振り返っていく。 3位で松井、大家、岡島とメジャー輩出

逆指名でダイエー入りした小久保
1993年11月20日 第29回ドラフト会議(新高輪プリンスホテル) [1位選手]
ダイエー
渡辺秀一(神奈川大)
広島 山根雅仁(岡山南高)
ロッテ 加藤高康(NTT東北)
横浜
河原隆一(関東学院大)
近鉄
酒井弘樹(国学院大)
阪神 藪恵一 (朝日生命)
オリックス 平井正史(宇和島東高)
巨人 三野勝大(東北福祉大)
日本ハム 関根裕之(東北福祉大)
中日 平田洋 (豊田大谷高)
西武 石井貴 (三菱重工横浜)
ヤクルト 山部太 (NTT四国)
社会人選手と大学選手の1位、2位に限り、いわゆる「逆指名」が採用された。ざっくばらんに言えば、高校生以外の好選手は自由競争となったわけだ。各球団は有力選手に指名してもらうため、あの手この手の勧誘合戦を繰り広げ、会議前にはほぼ決着。結果的には、会場に用意された抽選箱は一度も使われなかった。
注目はバルセロナ五輪にも出場した
小久保裕紀(青学大)と言われ、水面下で豊富な資金力を誇るダイエーと巨人の争奪戦となったが、結局、ダイエーの勝利。しかもダイエーは1位で投手の目玉と言われた渡辺秀一の逆指名を受け、小久保を2位で指名する余裕の圧勝だった。
渡辺は翌年8勝で新人王、小久保はチームを代表するスラッガーとなった。ダイエー唯一の悔いは、逆指名で2枠を埋めたことで、高校生の目玉の1人でダイエー入りを熱望していると言われた平井正史をオリックスに奪われたことだろうが、それはかなり“贅沢な悔い”だ。
ほか阪神が翌年の新人王・藪恵一、西武が闘志の男・石井貴を1位指名しているが、プロ入り後の活躍は比較的、地味な選手が多かった。2位も小久保以外に横浜・
波留敏夫(熊谷組)、中日・
鳥越裕介(明大)をはじめ、バイプレーヤータイプが多い。
むしろ、この年は3位が、のち華やかになる。西武が投手から内野手に転向し、大成した松井和夫(現=
松井稼頭央、PL学園高)、巨人が抑えで活躍した
岡島秀樹(東山高)、近鉄が通算1865安打の
大村直之(育英高)、日本ハムが
金子誠(常総学院高)、そして横浜が
大家友和(京都成章高)。松井、岡島、大家はメジャー・リーガーにもなっている。
下位に逸材がいたのがロッテ。6位にサンデー晋吾こと
小野晋吾(御殿場西高)、全体のどん尻7位には、2000安打が近づく
福浦和也(習志野高)の名前がある。
<次回に続く>
写真=BBM