
今秋から明大の三番に座る3年生・渡辺がチームを引っ張っている
“新三番”が明大打線をけん引している。
次期リーダー候補・
渡辺佳明(3年・横浜高)は横浜高を春夏通じて甲子園で5度の優勝へ導いた、渡辺元智前監督(2015年夏限りで勇退)の孫である。
横浜高では2年夏、3年春の甲子園に一塁手として出場し、
日本ハムの
淺間大基と
高濱祐仁と同級生。明大では1年春から三塁手として出場機会に恵まれ、春秋連覇に貢献した2年秋にはベストナインを受賞している。
しかし、リーグ3連覇がかかった今春、チームは5位に低迷すると、渡辺も打率.226と壁に当たった。
復調のきっかけをつかんだのは、国際試合だった。今夏は侍ジャパン大学代表に初選出され、日米大学選手権(アメリカ)とユニバーシアード(大会連覇、台湾)に出場。そこで今秋のドラフト候補で、同じ左打者の東北福祉大・
楠本泰史(4年・花咲徳栄高)から「左手の押し込みと、最短距離でのバットの出し方」の打撃技術を教わった。
2年時までは主に九番で、3年春は一、七番を打っていたが、今秋からは三番に固定。クリーンアップでも「あまり打順は意識しません。変わらず、崩さず、自分の間(ま)で打っている」と平常心で打席に立っている。
明大は開幕3カードを終えて、6勝1敗、勝ち点3で首位。渡辺は30打数10安打と好調をキープしている。3年生におけるリーグ戦通算安打では立大・
飯迫恵士(神戸国際大付高)の55安打に次いで、2位の52安打を放っている。
「1年生から出ている外野手の逢澤(峻介、関西高、51安打)と刺激し合っています。自分は内野手。3年生は2人で引っ張っていこうと言っています」。
明大・善波達也監督は入学時から渡辺の人間性を評価しており、来年の主将候補である。
「(キャプテンと)言われればもちろん、しっかり務め上げたいですが、その立場でなくてもやることは一緒です。まずはこの秋、けん引してくれる4年生と一緒に、リーグ優勝を奪回したいです」
目標は入学時からブレずに定める「100安打」だ。4年間8シーズンの大学野球において投手は30勝、野手は3ケタ安打が一流の証、と言われる。クリーンアップの一角を占める新三番・渡辺がシュアな打撃で紫紺軍団・
メイジを引っ張っていく。
文=岡本朋祐 写真=中島奈津子