
着実な成長曲線でエースへの道を歩む二木
4年目のドラフト6位右腕が、エースの座に近づいている。
二木康太だ。
10月4日の
楽天戦(ZOZOマリン)で8回5安打7奪三振、無失点。9回にリリーフ陣が同点に追いつかれて延長12回、1対1の引き分けに終わり、キャリアハイの8勝目はならなかったが、楽天・
岸孝之との息詰まる投手戦は見応え十分。「調子がめちゃくちゃ良かったわけではなかったが、うまくまとめることはできた。一番は四球が無かったこと」と手応えを口にした。
勝敗だけを見れば7勝9敗は昨季と同じ数字。しかし、内容は見違えた。超低空飛行を続けたチームにあって7勝は
涌井秀章と
唐川侑己の5勝を上回るチームトップの数字だ。投球回でも涌井の158回に次ぐ140回1/3。防御率も昨季の5.38から3.38と2点も良化させている。
何より目を見張るのは、自ら口にしていた2つの課題――「ストレートの球威」と「夏場以降の体力」という点で、確かな進化を遂げたこと。それが今季のさらなる飛躍へとつながった。
まずはストレートだ。「右腕の引きを少しコンパクトにした」ことでよりスムーズに腕が振れるようになり、球威も球速も増した。初出場となったオールスターゲームでは、地元ZOZOマリンでの第2戦で自己最速の151キロをマークしている。
ベースとなるストレートの威力が増したことによりストライクゾーンで勝負ができるようになった。さらに「真っすぐのスピードが速くなって、フォークも球速が上がった」と言うように、フィニッシュブローであるフォークのキレ味も鋭さが磨かれている。「真っすぐで押せると自分もラクと言うか、投球の幅が広がる」。
そして体力面だ。春先には後半へ向け、「不安はあります。昨年は後半にすごく失速したので」と口にしていたが、ふたを開けてみれば8月以降に3度の完投を記録。球速に多少の陰りは見られるものの、それでも試合をまとめられるようになってきた。冒頭のコメントはその表れでもあるだろう。
負けが先行している事実に変わりはないが、かつて涌井にこう声を掛けられて気持ちが切り替えられるようになったという。「チームの成績を左右しているような選手じゃない。負けたくらいで落ち込むな」。
しかし、二木の成長速度は涌井の想像を超えるスピードになってきているのではないか。2018年シーズンには先発ローテの軸として、「チームの成績を左右する」選手として、大きな期待を背負うことになるだろう。
文=杉浦多夢 写真=BBM