今年は10月26日に行われるドラフト会議。毎年、金の卵たちが、どの球団へ進むか大きな注目を集める“一大イベント”で、さまざまなドラマも生まれる。今年で53年目を迎えるドラフト会議の歴史を週刊ベースボールONLINEでは振り返っていく。

怖かった星野監督の仏頂面

1999年11月19日
第35回ドラフト会議（新高輪プリンスホテル）

［1位選手］
阪神　　　　的場寛壱（九州共立大）
近鉄　　　　宮本大輔（延岡学園高）
広島　　　　河内貴哉（国学院久我山高）
日本ハム　　正田樹　（桐生第一高）
ヤクルト　　野口祥順（藤代高）
ロッテ　　　高橋薫　（日本通運）
横浜　　　　田中一徳（PL学園高）
オリックス　山口和男（三菱自動車岡崎）
巨人　　　　高橋尚成（東芝）
西武　　　　高山久　（九州学院高）
中日　　　　朝倉健太（東邦高）
ダイエー　　田中総司（立命大）
　
　全体に小粒と言われる中で、1、2位とも逆指名が5球団、2位に逆指名、1位は高校生が3球団、残り4球団は逆指名を使わず高校生で1、2位と各球団が上位でさまざまな戦略をとった。

　1位での競合は、甲子園経験はなかったが、ポテンシャルが高く評価されていた左腕の河内貴哉。「全球団OK」と明言していた。広島、中日、近鉄の競合となり、広島・達川晃豊監督が当たりクジを引き当てると、タバコ「ラッキーストライク」の箱をさっと取り出してアピールするパフォーマンスもあった。

　ほか甲子園優勝左腕の正田樹が日本ハム、快速球右腕の朝倉健太が中日に。社会人組では、快速球にこだわり続けた男、山口和男がオリックスに、巨人は、のちメジャーでも活躍する左腕エース・高橋尚成を獲得している。

　2位では、強打堅守の内野手・田中賢介（東福岡高）が日本ハム、西武、中日との競合で日本ハムへ。ほかヤクルトの左腕エース・藤井秀悟（早大）、ロッテの右腕エース・清水直行（東芝）、オリックスには強打者・葛城育郎（立命大）、ともに中継ぎがメーンだった横浜の木塚敦志（明大）、阪神の吉野誠（日大）ら印象的な活躍をした選手たちが並ぶ。

　3位以降では広島3位が大砲・栗原健太（日大山形高）、ダイエー4位が世界のムネリンこと、川崎宗則、さらに近鉄の5位には、近鉄最後、楽天最初のエースで、現在でもメジャーで活躍を続ける岩隈久志（堀越高）と大物の顔がある。

　日本ハムは下位の6位で父親が神主というインディアンヒルズ短大卒の神島崇、7位で東大の遠藤良平を指名でも話題を呼んだ。怖かったのが星野仙一監督の仏頂面だ。1位・河内、2位・田中を外した後、1位・朝倉、2位・宮本大輔を指名も、同じく1位で河内を外した近鉄が1位に宮本を指名したため、優先既定で宮本は近鉄に。このあたりで顔が怖くなってきた。その後、福沢卓宏（滝川二高）を指名したが、3位で山北茂利（トヨタ自動車）を指名し、そこでストップ。星野監督はさっさと会場を後にした。

＜次回に続く＞

写真＝BBM