
茂木の鮮烈な一撃で先制した楽天が第1戦を制した
■10月18日 CSファイナルステージ第1戦(ヤフオクドーム)楽天3-2ソフトバンク ついに火ぶたが切られたCSファイナルS。パ・リーグの第1戦はファーストSでリーグ2位の
西武を破った楽天が勢いそのままにソフトバンクに3対2で土をつけ、アドバンテージを含めても1勝1敗の五分とした。
茂木栄五郎の鮮やかな先頭打者弾で幕を開けた試合は、2回に
アマダー、4回に
ウィーラーが追撃の一発を放ち、6回まで3安打ながら楽天が3点のリードを奪う。
塩見貴洋の緩急自在な投球に手を焼いたソフトバンクは6回に
今宮健太、9回には楽天のクローザー・
松井裕樹から
内川聖一がソロを放って1点差まで追いすがるも、最後は振り切られた。
5本の本塁打が飛び交いながら、すべてソロ。終わってみれば3対2というロースコアでの決着に、楽天・
梨田昌孝監督は笑みを隠しはしなかったものの、「3点で勝てるとは思わなかった。タイムリーでもう1、2点欲しかったね」と本音もこぼれた。勝ったとはいえ本来の爆発力、チャンスで畳み掛ける電撃アタックを披露できたわけではなかったからだろう。
数字上は1勝1敗となったわけだが、楽天の笑顔の指揮官は「まだタイだとは思っていない」と表情を引き締める。ソフトバンクは打撃陣こそ塩見の幻惑的な投球もあって淡泊な打撃に終わったが、先発の
東浜巨は3被弾とはいえ打たれたのはこの3安打のみ。6回以降は
森唯斗-
嘉弥真新也-
石川柊太-
モイネロ-
岩嵜翔と、自慢の中継ぎ陣が楽天打線をシャットアウトしたからだろう。
序盤にリードを奪われれば、最後に絶対守護神・
サファテが控えるソフトバンクのリリーフ陣を相手に逆転劇を演じるのは簡単ではない――梨田監督にそんなプレシャーがかかっていたとしてもおかしくはない。
となれば、第2戦のカギを握るのはソフトバンクの先発・
千賀滉大だ。今季は中盤の離脱、終盤の失速もあったが、13勝4敗、防御率2.64という堂々たる数字を残し、勝率第一位投手という念願のタイトルも手に入れた。
「普段、緊張しないのに、ここでしてもしょうがない。(CSという舞台の)場数を踏んでないので実際にどうなるかは分からないが、シーズンどおりに臨むのが一番」と自然体を崩さない。
千賀が「普段どおり」を貫き、盤石のリリーフ陣へリードを保ったままバトンをつなぐのか。爆発力を誇る楽天の強力打線が、序盤で早々と勝負を決めるのか。千賀vs楽天打線のシンプルな構図が、第2戦における最大のポイントになるだろう。
文=杉浦多夢 写真=湯浅芳昭