
初回、二死からDeNAは一走の梶谷が盗塁を試みたがタッチアウト
■10月31日 日本シリーズ第3戦(横浜スタジアム)
ソフトバンク3-2DeNA
ソフトバンクが3連勝で一気に王手をかけたが、この第3戦、勝負の分かれ目はやはり初回の攻防であろう。
1回表、ソフトバンクは一番の
柳田悠岐が右前打で出塁する(とはいえ、これはセカンドの
柴田竜拓がしっかり下からグラブを出していれば捕れた当たりだった)。初球、柳田がいきなりスチールを決めたが、DeNA先発・
ウィーランドのクイックが甘いということをしっかりとソフトバンク側は把握していたのだろう。続く
今宮健太が犠打を決め、一死三塁とDeNAにプレッシャーをかける。
デスパイネは三振に倒れたが、四番・
内川聖一が右翼へしっかりと適時二塁打。まさに王者の貫録の先制劇である。
対するDeNAは1回裏、一番・
桑原将志が四球で出塁。二番・
梶谷隆幸のときに桑原はスチールを試みたが、二塁憤死。この攻撃自体は悪くない。アウトになったのは、ソフトバンクの捕手・
高谷裕亮の送球が勝っただけだ。そして、一死から梶谷も四球。ロペスが捕邪飛に倒れ、二死となって打席には
筒香嘉智が入った。ここで、
ラミレス監督はふたたび仕掛けた。初球、梶谷を走らせたのだ。しかし、結果はタッチアウト。DeNAは立ち上がり、制球に苦しむソフトバンク先発の
武田翔太を攻略することができなかった。
この梶谷のスチール。私にはどうしても解せなかった。策を弄さずに、筒香の打撃に期待しても良かったのではないか、と。確かに相手バッテリーは筒香という強打者を打席に迎えて、ランナーに対する警戒心は若干薄らいでいたかもしれない。しかし、筒香相手には緩いボールよりも、強いボールで攻めることになろう。そういうことを踏まえても、走らすことがベストではなかったと感じるのだ。
結局これ以降、筒香の前に走者を置くことは叶わなかった。筒香は3出塁したが、すべてチャンスメークする役割に回ってしまった。四番の筒香がポイントゲッターにならず、チャンスメーカーに終始することになれば、得点を積み重ねることは難しい。ロペスの本塁打が飛び出し、1対3と2点差に追い上げた4回裏も続く筒香が左前打を放ち、
宮崎敏郎が死球、
嶺井博希が四球で満塁のチャンスを作るも柴田竜拓が二飛、ウィーランドが三振と追加点を奪えなかったのは痛かった。
DeNAはソフトバンクに比べて六番以降が弱い。シーズンと同じく、九番に
倉本寿彦を置いているが、打撃が好調なだけに打順を上げてもいいのではないかと思う。王手をかけられたDeNAはもう後がない。とにかく打撃陣が点を取るしかない。6回裏、一死二、三塁から柴田が粘って四球を選んでチャンスを広げ、二死後、倉本が粘って内野安打として2対3としたが、こういったボールに食らいついていく姿勢を見せていくしかない。
写真=高塩隆