2018年に創刊60周年を迎える『週刊ベースボール』。おかげ様で、すでに通算3400号を超えている。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 風雲を呼ぶタイガースの闘志
今回は『1958年7月2日号』。創刊第12号で定価30円。カラーページはない。
まずは表紙文字にもなった『賞金10万円のホームラン・クイズ』に注目だ。最近では雑誌懸賞に関するルールがあり、認められていないビッグプレゼントでもある。
72、73ページの見開きで「賞金十万円大懸賞 ホームラン・クイズ」とドン! とタイトル。第1回の出題は「一、六月二十四日後楽園球場の
巨人─阪神十二回戦のスコアーは何対何でしょうか。一、同試合の勝利投手と敗戦投手は誰と誰でしょうか」とある。
正解者がない場合は次回に加算、二名以上十名までのときは賞金を等分、十名以上を超えたときは抽選で十名に、とある。第一回とあるから、いつまで続くか楽しみである(当欄の筆者も基本的には1日1冊ずつ読みながら書いています)。
巻頭グラビアは、いままでの2ページから6ページに増えた。部数好調ぶりが感じられ、何よりである。“週刊誌ブーム”と呼ばれ創刊が相次いでいた時代とも聞く。
グラビアで「黄金の微笑」と題し、登場するのは、巨人・
宮本敏雄。6月6日、結婚式の写真も使われている。日系人プレーヤーで、そのさわやかな笑顔は「百万ドルの笑顔」とも言われた。
本文の巻頭特集は「巨人・阪神のベンチ~そこでなにが語られたか」。6月10日、後楽園での一戦に試合前の更衣室から完全密着している。試合中の選手たちのヤジ、試合後の様子も含め、選手のナマ声もふんだんに盛り込まれた臨場感あふれる記事だ。
特別レポートでは『屋根のある新球場』の構想が紹介されている。ドーム球場建設についてだ。夢物語ではなく、6月10日に日本テレビで記者会見が行われ、新宿大久保の候補地の地図、完成予想図なども配られ、かなり具体的な説明もあった。完成予定は1960年となっているのが、実現しなかったのはご存じのとおり。今後、続報(?)があれば、また紹介したい。
センターグラビアの扉は、表紙にもなっている阪神・田宮謙次郎。「風雲を呼ぶタイガースの闘志」とある、田宮は「選手の秘密」のコーナーにも登場し、投手から野手に転向する際、コーチに減量を指示され、10日間絶食した話などが紹介されている。
座談会は「白熱のセ・リーグ序盤戦から」と題し、巨人・
別所毅彦、阪神・
小山正明、
広島・
藤井弘、国鉄・
佐藤孝夫の主力が登場。複数球団の座談会は、いまではオフかオールスターくらいしか実現不可能だ。うらやましいとともに、当時の『週べ』の熱量にも圧倒される。われわれも見習わなくてはならないな……。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM