
富士大の3年生左腕・鈴木翔は東洋大との2回戦で先発したが3回4失点降板。とはいえ、2018年のドラフト候補として評価を高めた
東洋大との2回戦で敗退後、神宮記者席裏の会見場には、テレビカメラが3年生投手を待ち構えていた。第48回明治神宮野球大会3日目(11月12日)の大学の部。富士大の149キロ左腕・
鈴木翔天(そら、向上高)を取り巻く環境が一変したことを証明するシーンであった。初戦突破に貢献した大商大との1回戦では見られなかった動きだ。
この秋、鈴木翔は八戸工大2回戦(北東北大学リーグ)でリーグ史上初の完全試合を達成(球数118、奪三振15、内野ゴロ6、内野飛球2、外野飛球4)。
「東北なので、広まらないのかな? と思ったら、意外と話題になった。自信になりました」
最速149キロ。独特のテークバックからキレの良いボールを投げ込む。左打者の外角にはスライダー、右打者の外角にはチェンジアップが効果的である。大商大との1回戦では左足がつるアクシデントがあり、5回途中で降板したものの、9奪三振と圧巻の投球を見せた。
中1日。鈴木翔は東洋大との2回戦で先発したが3回4失点で降板し、チームも1対9の7回
コールドで敗退した。
「調子は良かったですが、ただ力負け。結果を残して騒がれているようですが、周りが言うほどの選手にはなっていない。一回り大きくなって(神宮に)戻ってきたい」
決して、冷静さを見失わない鈴木に「大物感」を見た。ドラフトイヤーとなる2018年、注目左腕がさらに脚光を浴びそうだ。
文=岡本朋祐 写真=川口洋邦