11月15日、マツダ広島で12球団合同トライアウトが開催される。野球人生を懸けた勝負を繰り広げる戦力外選手たち。参加予定者の球歴を紹介する。 
昨季、今季ともに一軍登板はわずか1試合に終わった大隣
■プロフィル
名前:
大隣憲司(おおとなり・けんじ)
ポジション:投手
生年月日:1984年11月19日(32歳)
身長・体重:175センチ89キロ
投打:左投左打
経歴:京都学園高-近大-
ソフトバンク07(希望入団枠)=11年
2017成績:1試合 0勝1敗0H0S 1奪三振 防御率14.73
近大時代に全日本大学選手権で1試合19奪三振の大会新記録を樹立するなどして注目を集めた大隣憲司は、2006年秋の大学生・社会人ドラフトにおいて最大の目玉とされ、激しい争奪戦の末、希望入団枠でソフトバンクに入団した。
入団後はなかなかローテーションをつかめずにいたが、6年目の12年に前半戦だけで7勝。最終的に自己最多となる12勝を挙げ、防御率1位を
吉川光夫(現
巨人)と争う活躍を見せる。
13年は日本代表として第3回WBCにも出場したがシーズン序盤、さらなる飛躍を誓った大隣を病が襲う。「黄色靱帯骨化症」。背骨を縦につなぐ黄色靱帯が骨のように硬くなって脊髄を圧迫する病気で、神経が圧迫されることによって足がしびれ、感覚がなくなってしまうなどの歩行障害につながる難病だ。手術を経て待っていたのは過酷なリハビリ。それでも「やっぱりボールを持つということは気が楽になる」と笑顔で野球と向き合った。
懸命なリハビリの結果、14年7月13日の
日本ハム戦(札幌ドーム)で一軍復帰を果たすと、27日の
オリックス戦(ヤフオクドーム)で422日ぶりの先発。7回を3安打1失点の好投で白星を挙げ、お立ち台では喜びを爆発させた。しかし、15年には左ヒジを痛めて手術。その影響もあり、昨季、今季と一軍で結果を残すことはできずに11月5日、球団から戦力外が発表された。
発表後、自身のTwitterで感謝の言葉とともに「さらばホークス!!さらば福岡!笑」(原文ママ)と元気良く旅立ちを宣言した大隣。病に屈しなかった男は、再びその強さを発揮し、自分の居場所をつかみ取る。
写真=BBM