
日本式の練習を取り入れたことで、さらに技術向上をみせたというサファテ。異国の地のやり方を受け入れ自分のモノにしたことで、最高の栄誉を手にした
先日行われた「NPB AWARDS 2017 supported by リポビタンD」でセーブの新記録となる54セーブを挙げパ・リーグの最優秀選手賞(MVP)とセーブ王、外国人選手として初の正力松太郎賞などの受賞者となった
ソフトバンクのデニス・サファテ投手が17時間のフライトで再来日し出席した。この授賞式の記者会見の中でサファテは、日本で活躍できる秘訣のようなことを語った。
「ソフトバンクの選手たちはものすごい量の練習をする。最初は驚いたけど、僕もその練習をやったことで身に付いたものがあるし、ここまでの選手になれた。もし、新しく日本にくる外国人選手がいたら、まずもともと持っている概念は少しソデに置いて、まずは日本のやり方をやってみることでないか」
このコメントを聞き、
阪神の
ランディ・メッセンジャー投手の言葉を思い出した。以前、メッセンジャーに長く日本や異国の地で活躍するためには、という質問をしたときに「オープンマインドになることだね。何事もトライしてみることが必要だよ。毎年、阪神に来日する外国人選手たちには言っているんだよね。でもなかなかね」と答えてくれた。
メジャー野球で育ってきた選手たちには固定概念とプライドがあるのは確か。日本で活躍するために、それらをソデに置く勇気は、想像以上のモノ。「初来日の外国人の99パーセントは翌年メジャーに復帰したいと思っている」とメッセンジャーは言っていたが、これも本音だろう。そのために初心に戻って、日本の野球を受け入れることは大きな決断だ。
2人は、それができたからこそ、日本の野球を愛することができ今度はずっと残ることを決断。サファテは7年。メッセンジャーは8年という長い歳月、プロ野球で活躍し続けているのだろう。
メッセンジャーは日本の文化も受け入れ、遠征先で自ら電車に乗りお気に入りのラーメン屋に足を運ぶだけのバイタリティーがある。ある外国人選手は日本食が受け入れられず、春のキャンプ中、昼夜と宿舎ホテル前のハンバーガー屋に通っていたという。われわれ日本人はどうだろうか。食文化は日本が一番と思っていないだろうか!? ほかの国の食事を受け入れられるだろうか? 白米を1週間食べなくても平気だろうか? そういう部分でも、外国で成功できる性分があるのではないだろう。そして、できればそういう性分を持つ助っ人をピックアップできると成功する外国人選手が増えると思う。そのためには、渉外スカウトによる面談などが必要になるけれど……。
最後に……メッセンジャーは納豆だけはどうしても食べられないという……。
文=椎屋博幸 写真=小山真司