2018年に創刊60周年を迎える『週刊ベースボール』。おかげ様で、すでに通算3400号を超えている。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 大スター・石原裕次郎も登場
今回は『1958年11月12日号』。創刊第31号で定価30円。中カラー見開きは『背番号16』と題し、日本シリーズ第2戦、
巨人・
川上哲治の打席での後ろ姿だ。川上はこの日本シリーズの後、引退を表明。「きざな言い方かもしれないが、この“背番号16”を泥にまみれないうちにファンのみなさんへお返ししたいという気持ちです」と語った。
史上初めて3連敗からの4連勝で西鉄が日本一となった。この号は、その4戦目以降、つまりは西鉄の逆襲を掲載している。表紙も6試合登板で4勝と驚異的なピッチングを見せ、MVPとなった西鉄の稲尾和久だ。
やや締め切りの塩梅が分からないが、巻頭モノクロ、後ろモノクロが5戦目までで、6、7戦はセンターグラビアになっている。現在では、むしろ中カラーなどが締め切りが早く、前カラー、後ろカラーがギリギリまで待つ。進行が違うようだ。
本文巻頭は『西鉄の逆襲! 巨人吹っ飛ぶ~奇跡の4連勝は起こった』だ。劇的だった3連敗4連勝のドラマを舞台裏も交え、レポートしている。
さまざまな日本シリーズプレーバック企画があり、いずれも読みごたえたっぷりなのだが、びっくりしたのが座談会だ。
『緊張の11日間~裕ちゃんと西鉄のタフネス・ボーイ』。
大スター・石原裕次郎と西鉄・稲尾和久、
中西太が出席者だ。石原は大の巨人ファンとして有名だったが、兄の慎太郎(小説家。元東京都知事)は西鉄ファンらしく、今回の日本シリーズは大変だったようだ。
手前味噌もあるが、気になったのは、裕次郎の以下のコメントだ。
「もう日本シリーズが始まったら撮影中止ですよ(笑)。やったって仕事にならん(笑)。きのう(第7戦当日)撮影が終わったのが12時半。みんなケンカ腰でテレビの前に座っている(当時はデーゲーム)。こりゃ、なんとしても見なきゃならんというので、ベースボール・マガジンに電話したんですよ。切符ないかって(笑)。そしたらOKでしょ。調布から後楽園まで三十分で着いちゃった」
小社のすごさ(?)もそうだが、石原の車の運転も気になる。調布から後楽園まで22キロくらい。交通事情もあるが、いまなら高速をつかって、なんとか30分間なのだが……。
この日本シリーズは経緯を説明するだけでも、むちゃくちゃ面白いのだが、この連載の主旨ではないので省略させていただく。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM