2018年に創刊60周年を迎える『週刊ベースボール』。おかげ様で、すでに通算3400号を超えている。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 近鉄の新ニックネーム発表
今回は『1959年2月11日号』。創刊44号で定価30円だ。表紙は中日・森徹、センターカラーは
阪神から
田宮謙次郎が加わった大毎の『強力打線』。
榎本喜八、
葛城隆雄、田宮、
山内和弘、
矢頭高雄がバットを片手にずらりと並ぶ。巻頭グラビアは1月20日から始まった
巨人の多摩川での練習。すでにユニフォーム姿だ。
本文巻頭も『特集 水原と川上の手腕~巨人はどう変化していくのか』。トレーニング初日、
水原円裕監督は私服、就任したばかりの
川上哲治ヘッドコーチはユニフォーム姿で現れた。
水原監督はこの日、「ほんとうにチームが一丸となっていかなければならない。今年は一軍、二軍という垣根を取り除いて、調子の悪いものはビシビシ鍛え、よいものは一軍に上げていきたいと思う」と訓示した。川上の引退もあって、思い切った世代交代に打って出たいということだろう。
ただし、川上は自身はすでに引退を表明していながら、正力松太郎読売新聞社主の意向により、まだ正式な引退発表がされていなかった。なかには「調子のいいときは代打として登場すればいい」という意見もあったが、川上は「常時出場の自信がないのに代打にだけ出るようでは、若い人の進歩を邪魔する結果になる」と現役続行を完全否定した。
恒例の『12球団週間報告』の近鉄ページでは、1月14日に行われた新ニックネーム発表披露会に触れている。
新ニックネームは新監督・
千葉茂の巨人現役時代のニックネーム『猛牛』もあって「バファロー」。これは一般公募で決まったものだが、2万通近く寄せられた中では、ほかに「フェ
ニックス」も有力だったという。2004年の球界再編問題で近鉄球団は消滅したが、その際、新参入球団として
楽天と競ったのが堀江貴文社長の『ライブドア』、そしてそのニックネームがフェニックスだった。複数でなかったのは、アルファベットにすると9文字と長くなり、胸のマークなどに収まりづらいためだったらしい。
会場であいさつに立った千葉監督は片手をポケットに突っ込んだままの悠然スタイルで「猛牛は止まることを知らず走り続けます。近鉄もジャイアンツと選手権を争うまで走り続けます。いままでの近鉄はおとなしすぎたと聞いています。しかし僕はエレ
ガントではないので、近鉄をたくましいチームに育て上げるつもりです」と語り、大喝采を受けていた。
また、大洋退団後、なかなか行く先が決まらなかった
青田昇は阪急入りが決まった。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM