ソフトバンクの日本一で幕を閉じた2017シーズン。熱戦が続いたが、球団ごとに「投手力」「攻撃力」「守備力」に分けて振り返っていく。 投手力 PITCHING REVIEW

最多勝、最優秀防御率の2冠を獲得した菊池
パ・リーグ2位
◎143試合 79勝61敗3分 勝率.564
◎ホーム44勝27敗1分、ビジター35勝34敗2分
◎交流戦10勝7敗1分 勝率.588 3位
今季、
西武投手陣の中心となったのは
菊池雄星だ。16勝、防御率1.97でタイトルを獲得。2度、左腕最速の158キロをマークするなど球威は1年を通して衰えなかった。さらに
野上亮磨も昨年の3勝から11勝とジャンプアップ。終盤息切れしたがウルフも老獪な投球で9勝を挙げた。
期待の若手、
多和田真三郎(5勝)、
高橋光成(3勝)の白星は伸びなかったが、先発陣の防御率は昨年の4.10から3.64と良化。その結果、昨年は先発陣の借金は20だったが、今年は18の貯金を積み上げた。先発陣が飛躍した要因の1つは四死球が減ったことだろう。昨年はリーグワーストの373四死球だったが、今年はリーグ2位タイの284。ムダな走者を出さなかったことが奏功した。
リリーフ陣は
牧田和久、シュリッター、
増田達至が中心。よく機能したがシュリッター、増田がともに1勝5敗と負け数が先行したのはいただけなかった。シュリッターが退団し、牧田もメジャー移籍の可能性があり来季、再編は必至だ。
攻撃力 HITTING REVIEW

リーグ2位の37盗塁をマークするなど、機動力の中心となった源田
リーグ1位のチーム打率.264をマークしたが、これは昨年と同じ数字だ。ただ、得点は619から690と増えている。その要因として128本から153本になった本塁打増もあるが、足を使った攻撃が浸透したことも大きいのは間違いない。
盗塁数は97から129と大幅アップ。ただ闇雲に走るだけではない。盗塁成功率も.724から.763と良化させている。投手がランナーを警戒して、打者への集中が疎かになり、それが打者有利に働いた面はあるはずだ。次の塁を狙う積極的な姿勢は二塁打が219から236、三塁打も19から28と増えたことからも分かるだろう。犠打成功率も昨年の.730から.813へアップしたのも大きい。
攻撃陣に新風を吹き込んだのは
源田壮亮の存在だ。リーグ2位の37盗塁をマークし、三塁打10はリーグトップ。
辻発彦監督が理想とする機動力を駆使した野球をルーキーが体現した。
守備力 FIELDING REVIEW

内野手ながら、主に外野をこなした外崎
「守れない選手は使わない」。辻監督の強い信念の下、チームのエラー数は昨年の101から88へと減少した。長年の懸案事項だった不在の正遊撃手には源田を抜擢。新人遊撃手は快足を生かした広い守備範囲に堅実な送球で守備陣を引き締めた。
さらに辻監督にとって大きかったのは
外崎修汰の成長だろう。持ち味の足を生かすべく、内野手ながら外野手で起用。当初は慣れない面もあったが、徐々に適応して過不足なくこなすことができるようになった。さらに、外崎は試合終盤には内野へ回ることも。背番号44の万能性が、チームの戦略を広げる形にもなった。
捕手も
炭谷銀仁朗、
岡田雅利を併用。捕手を変えることで、相手にリードの傾向を読まれにくくする効能があった。盗塁阻止率も昨年の.284から.329と向上。バッテリーの走者への意識も高まった。
【2017年の主な達成記録】
◎通算100本塁打=
メヒア、5月4日対ソフトバンク(ヤフオクドーム)、プロ野球281人目、
浅村栄斗、5月20日対ソフトバンク(メットライフ)、プロ野球282人目
◎通算300二塁打=
栗山巧、7月2日対
オリックス(メットライフ)、プロ野球69人目
◎通算350本塁打=
中村剛也、7月19日対ソフトバンク(ヤフオクドーム)、プロ野球30人目
◎チーム13連勝=58年西鉄以来59年ぶり
◎通算1000安打=浅村栄斗、9月28日対ソフトバンク(ヤフオクドーム)、プロ野球290人目
◎新人野手フルイニング出場=源田壮亮、10月5日対
日本ハム(メットライフ)、プロ野球4人目