
シンポジウムに参加した現役選手たち
プロ野球の歴史の中から、日付にこだわって「その日に何があったのか」紹介していく。今回は12月26日だ。
高い壁が両者の間に立ちはだかり続けた「プロ・アマ」関係。特にプロ球界と高校球界は、プロ球界にたび重なるルール違反があってだが、異常なほどの緊張状態にあった。
2003年12月26日は、その水解けが一気に加速した歴史的な1日だ。大阪市の大阪国際会議場で日本野球機構、日本プロ野球選手会、日本高野連の主催でプロ野球現役選手によるシンポジウム「夢の向こうに」が開かれ、長く禁止されてきたプロの現役選手から高校球児への指導が実現したのだ。
参加した現役プロは
中日・
立浪和義、
阪神・
井川慶、
赤星憲広、近鉄・
岩隈久志、中日・
福留孝介ら11選手。会場には近畿地区151校の高校球児約2500人が集まり、選手の話に熱心にメモを取った。
学生野球憲章ではプロ野球選手の高校生への技術指導は禁止されているが、この日は井川や立浪らが高校生の「キレのある球を投げるには」「変化球を打つには」などの質問にグラブやバットを持って実演しながら「禁止の壁」をついに破った。
「きょう第一歩がスタートしたことに喜びを感じている」と立浪。「僕の高校時代はこういう機会がなかった。もっと増やしていけたら」と井川。進行役だった野球解説者の
栗山英樹氏(現
日本ハム監督)は、「こういうことができる時代になっただけで感動する」と語った。
シンポジウムは恒例化し、2017年は青森で行われている。
写真=前島進