2018年に創刊60周年を迎える『週刊ベースボール』。おかげ様で、すでに通算3400号を超えている。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 『その後の王と板東』
今回は『1959年6月10日号』。定価30円だ。センターカラーは『王者長嶋』。カクテル光線に照らされた打者・
長嶋茂雄(
巨人)の雄姿だ。グラビアでは長嶋が敬遠攻めにされ、うんざりした様子を見せる写真もあった。打率は5月18日現在で.444だ。
本文巻頭は『大タイガースの危機~燃えろ!伝統のタイガース魂』。開幕から下位を低迷する
阪神の問題点を洗い出す企画だ。甲子園も昨年に比べ随分お客さんが減っていたらしい。第2特集『“背番号16”の大いなる沈黙』は多少見出しを盛り過ぎ、コーチとなっても寡黙に仕事をこなす巨人・
川上哲治コーチの近況記事だ。
座談会は『優勝への自信大いにあり』。セの優勝争いをする巨人から長嶋、
堀内庄、
中日から
伊奈努、
江藤慎一の登場だ。長嶋は自身の好調さについて「いま考えているのは、調子がいいうちにバリバリ打っておきたい。それだけです。きっといつかは当たらなくなりますから」と語っている。
『その後の王と板東』はゴールデンルーキーと言われながら、なかなか結果を出せない巨人・
王貞治と中日・
板東英二が登場。王は27打席目にしてプロ初安打であるホームランを打ったが、調子が上がらず、試合出場もめっきり減っていた。
「あのホームランを打ってから続けてゲームに出ていたとしたら、あるいは、いわゆるきっかけをつかめたかもしれませんが、ずっと休んでいるせいか、そうは思えないんです。そして、前よりはよけい打てなくなってしまったような気持ちですね」
と不安をもらす王に対し、同じく結果を出せずにいる板東は明るい。
「記者の人にも追われんし、いいわ。でもね、ファンレターはぜんぜんこんのや。はじめのうちは毎日たくさん来て、読みきれんくらいやったけど、いまはさっぱりこん。そのうちまたくるようにせなあ、ねえ」
ある意味、いまもまったくキャラがぶれていない人だ。
少し前から「賞金10万円と日立電気冷蔵庫が当る」となっていたホームランクイズは、この号から『新形式5大クイズ~賞金総額14万円と日立電気冷蔵庫が当る』となった。賞金10万円のクロスワードと、野球に関するクイズ2問が1万円ずつ、あとは冷蔵庫で正価5万9500円とある。どういう足し算かよく分からなかった。
連載漫画『ファイトくん』がスタート。『三軍選手』と二本立てになった。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM