
その影響力は外国人選手に対してだけではない
「いろいろ考えて、
ウィーラーにしようかと」。
梨田昌孝監督は2018年シーズンのキャプテンについて、こう切り出した。だがこれは指揮官流のジョーク。チームでは最長となる4年連続で
嶋基宏が務めることになった。
それでも指揮官はウィーラーに対し、「お前が外国人のキャプテンだよ」と常々言っているそうだ。17年シーズンは開幕から打撃が絶不調だったが、ならばとベンチで味方を鼓舞する姿が常にあった。自分のことよりチームのために。そんなメンタリティーで動ける稀有な外国人選手と言えるだろう。
印象的なシーンがあった。9月1日の
ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)。同僚・
アマダーが東浜の内角攻めにキレて、乱闘騒ぎを起こした。同じ外国人選手であるため、アマダーの肩を持つと思いきや、一目散でその巨漢に飛びつき、鬼の形相で制止した。「お前の行動がチームに迷惑をかけるんだ」。そう言っているようだった。それはまさに、来日3年目を迎えた先輩外国人選手の姿だった(2人は同じ年齢だが)。
「ハクション大魔王」に似ていると話題になり、7月9日にはコラボしたイベントも開催された。試合前練習では梨田監督を筆頭に全スタッフがそのイラスト入りのTシャツを着ている光景に「愛されっぷり」が感じられたものだ。
球団とは2年総額4億円プラス出来高という大型契約を結んだ(金額は推定)。その際のコメントが「チーム一人ひとりが優勝を目指し、やる気全開、闘志むき出しで挑みます」と、まさに主将然としたもの。正式な肩書はなくとも、そのリーダーシップに期待したい。
文=富田 庸 写真=井田新輔