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早大・高橋監督を支える佐藤助監督(左)と道方コーチ。昨秋は70年ぶり最下位(東大と同率5位)に沈んだチーム再建へ向けた大きな力となる
昨秋は70年ぶりの最下位(東大と同率5位)に沈み、今春は3年ぶりの「大学日本一」を狙う早大に、2人の強力援軍が加わった。高橋広監督は2015年の就任から3年間、100人以上の部員を率い、学生コーチが補助する形を取ってきた。早大以外の五大学では野球部OBの助監督、コーチが指揮官を支えている。一方、早大だけは監督一人で指導する流れが長く続いていた。自立した意識が高い学生が相手とはいえ、すべてに目を行き届かすには限界がある。
1月1日付で就任した佐藤孝治助監督は早実出身。元国鉄の強打者として1952年に新人王、57年に本塁打王を獲得した孝夫氏を父に持ち、高校3年夏(1980年)の甲子園準優勝捕手。1年生・
荒木大輔(現
日本ハム二軍監督)とバッテリーを組んだことでも有名だ。早大を経て日本石油(現JX-ENEOS)ではコーチ兼任を1年含めて9年間プレー。現役を退いた後は25年、社業に専念していた。昨秋、神宮球場で母校の試合をOBとして観戦。一歩引いた目、スタンドから見た「最下位」で率直に感じたことがあるという。
「練習を怠けていたわけではない。物事が起こってからどうするか? という動きに見えた。つまり、気持ちの準備不足。それが1点差で負ける原因(昨年春・秋で14敗中9試合)だったと思う。やることは、シンプル。高橋監督が目指す早稲田大学野球部を全力で支えることです」
昨年11月から指導する道方康友投手コーチは箕面自由学園高出身。早大では左腕投手として活躍し、昨年7月まで社会人野球・JFE東日本監督を3年間務めた実績がある。高橋監督の1学年後輩。指揮官は捕手出身であり、ブルペンはほぼすべて同コーチに任せるという。
「昨年までは監督一人で、大変な思いをしてきた。母校への恩返し、少しでもサポートできれば、と。基本技術を大切に、裏付けのある指導をし、そこに気持ちがついてくる。気負けしないピッチャーを育てていきたい」
昨秋最下位からの名門復権へ、白羽の矢が立った2人だが、気負いはない。
「駅伝ら早稲田にはいろいろなスポーツがありますが、勝っても負けても注目される。監督が目指すものを早く、実現させたい」(佐藤助監督)
「前年に優勝してもしなくても、毎年、大変なわけですから。前回(1947年秋最下位)は翌春に優勝したんですよね。歴史は繰り返されると信じてやりたい」(道方コーチ)
チーム再建への体制は整った。
リーグ戦通算14勝で、エース兼主将の左腕・
小島和哉(4年・浦和学院高)は決意を語る。
「(4月の)開幕まで3カ月で鍛えて、初戦から勝ちにいく。倍返しじゃないですけど、やり返していきたい」
高橋監督の2018年にかける思いも相当だ。
「捲土重来。とにかく、最下位から優勝する。早慶戦で勝つ。日本一になる。来年では意味がない。今年するから意味がある!」
指導者3人となった早大が“下剋上”へ向けた覚悟の2018年をスタートさせた。
文=岡本朋祐 写真=BBM