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週刊ベースボール60周年記念企画

【週ベ60周年記念企画85】『特集1 鶴岡、栄光は血涙とともに 2 巨人8連敗の責任を問う』【1959年11月25日号】

 

今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。おかげ様で、すでに通算3500号が近づいている。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

優勝座談会『野球根性で勝ったのだ!』


表紙は南海・鶴岡一人監督


 今回は『1959年11月25日号』。定価は30円だ。巨人─南海の日本シリーズは、南海の4連勝、しかもエース、杉浦忠が4勝でMVPともなっている。巻頭グラビアでは杉浦が家庭でくつろぐ姿、センターグラビアでは御堂筋でのパレードと、日本球界では、これが元祖と言われるビールかけの写真もある。

 本文巻頭は『“鶴岡”栄光は血涙とともに〜男の意地、十年目に咲いた花』。日本一を決めた南海・鶴岡一人監督は祝賀会で、ずっと泣いていた。マイクの前でのあいさつも、

「なにも言うことはありません。長い間、ファンのみなさま、声援ほんとうにありがとうございました。選手のみなさん、ほんとうにご苦労さまでした」

 いつものしわがれ声で、そこまでは言ったが、あとは涙で言葉にならなかった。

 優勝座談会『野球根性で勝ったのだ!』では、南海の野村克也大沢昌芳(のち啓二)、杉山光平岡本伊三美、杉浦忠が登場。杉浦は「ジャイアンツはよく考えているように見えるけど、その実、あまり考えてなかったんじゃないかな」と意外な毒舌を見せれば、岡本は「お嬢さんなんだよ」と一刀両断。無傷の4連勝だけに意気軒高だ。

 日本シリーズの陰のポイントになったセンター・大沢の好守備にも話は及び、杉山が、「大沢がなぜあれだけのファインプレーをしたかということは、要するに打てないコースが共通している。そして打てるコースが共通している。だから飛ぶコースは決まっているんだ」と語っていた。

 大沢は第3戦の9回裏、森昌彦のショート後方のライナーを好捕。ホームで広岡達朗を刺していた。

 その後には敗れた巨人の広岡、藤田元司藤尾茂坂崎一彦の座談会『日本シリーズを反省する』も掲載。

 ここでも大沢の守備に話が及んだ。まずを水を向けたのは、司会の志村正順(NHKアナウンサー)だ。

志村 とにかくショートの真後ろに大沢がいたというのは、いまだに信じられないよ。森君が打つ前に、ぼくは大沢のヤツ変なところにいるな、どうしてあんなバカなとこにいるのかなと思った。森君はあそこに打つんですかな。

藤尾 ええ、得意ですよ。

志村 それを知っていてカニのはさみみたいな恰好をして待っていた(笑)。とにかくあそこに外野手がいるということは野球じゃないよ。奇跡ですよ。

藤田 あれは大きいですね。ショックでした。

藤尾 あれで負けたといってもいいね。極端にいうと。

広岡 大沢に負けたといってもいいですよ。

 前年西鉄との対戦から日本シリーズ8連敗となった巨人の敗因分析に加え、一気にストーブ・リーグも開幕。巨人・水原円裕監督の辞任騒動もそうだが、激しいのは別当薫監督が辞任した大毎だ。『空中分解するか大毎オリオンズ』という記事では、バタバタの中で合併前の毎日派と大映派の選手の衝突も表面化しているらしい。後任監督は、東映のコーチをしている松木謙治郎か現コーチの西本幸雄に絞られた。57年まで大映のコーチだった松木が大映派、毎日でプレーもした西本が毎日派となる。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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