今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。おかげ様で、まもなく通算3500号を迎える。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 本文巻頭に横綱の栃錦清隆が登場
今回は『1960年1月27日号』。定価は30円だ。本文巻頭は『特集
巨人を支えるバックボーン~崩れんとする王者の牙城を救うものは』。毎号のように巨人の危機をあおる企画が続いている。確かに4年連続で日本一は逃しているが、リーグ5連覇でもあるのだが……。
特集では、前年末に巨人のこれからについて正力松太郎新聞社主と意見交換をしたという品川主計前球団社長の怪気炎が中心。かなり手厳しい言葉が並ぶ。特に理論家で知られたコーチ、新田恭一がチームを去ったことに憤っていた。
「現在の巨人軍を見ていると、まったく冷や汗が出てくる。トレードの問題しかり、新田君を手放すことしかり。どうしても最近球団のなすことが私情に左右されているように感じられてならない。こんなことでは巨人軍の再建ができるものか。こまった、こまった……」
大学野球の聖地に徹し、プロをシャットアウトしていた神宮球場についての記事もあった。東芝の寄付で夜間照明が設置されたことで、さっそく大毎が借用を申込み、プロへの開放がウワサされていたが、東京六大学の反対で暗礁に乗り上げているという内容だった。
本文巻頭の『リード・オフ・マン』には横綱の栃錦清隆が登場。「プロ野球への意見」を問われての回答を紹介しよう。
「あまりにもプロ野球が盛んになってきて、体格のいい若い人が、次々とプロ野球に入っていく。日本の陸上競技とかバスケットとかいうのがあまりぱっとしないのは、こんなところにあるのではないだろうか。やっぱり、これは収入の面に大きな原因があるのだろうが、それは国が陸上競技やバスケットの選手の生活を、ソ連やアメリカのように保障してやらなければ、いい選手は出ないのではないか。プロ野球が発展するのもいいが、ほんとのスポーツが栄えるというのは、プロ野球だけじゃダメだ」
さすがのちの春日野理事長である。
この号の表紙でもある西鉄の大エース、稲尾和久の婚約話もあった。稲尾によれば気に入った理由は「パーマをかけていないところ」という。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM